私の一冊

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

藤田英輔

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「ほんもの探し旅」 小林泰彦 ヤマケイ文庫

1975年頃、若者向け月刊誌に掲載、連載されたものを集めて文庫化(2014年発行)した本。約40年前です。

現在の日本に本物を造(作)り、使う文化があるか?(有ります!工業製品はどれも本物でしょうが)

現在も昔も本物は認知されます。永く使用でき、財産や生命を守ってくれるもの、そんな物は完成まで労力や時がかかります。

だからそれに似合う対価が発生します。

価値が高いか安いかは、各々の価値感が決めることです。

修繕できるもの、直せば以前より使い勝手が良くなるもの。そんな物を造(作)り、そして使うことが、細くても良いから永く続いてほしい。

藤田英輔

 

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私の一冊

藤田純子

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「ちひろのアトリエ」 いわさきちひろ 絵, 松本猛 文 新日本出版社

この本の中でちひろさんは、「大人になる」と題して、次のように書いています。

「人はよく若かった時のことを、とくに女の人は娘ざかりの美しかったころのことを、何にもましていい時であったように語ります。けれど私は自分をふりかえってみて、娘時代がよかったとはどうしても思えないのです。

私は一見、しあわせそうな普通の暮しをしていました。けれど生活をささえている両親の苦労はさほどわからず、なんでも単純に考え、簡単に処理し、人に失礼をしても気付かず、なにごとにも付和雷同をしていました。思えばなさけなくもあさはかな若き日々でありました。

そんな頃に私は戻りたくはないのです。今はあの頃よりはましになっていると思っています。そのまだましになったというようになるまで何十年も失敗を重ね、冷汗をかいて、少しずつ少しずつ、ものがわかりかけてきているのです。何で昔にもどれましょう。」(後述略)

私はまるで自分を見ているように共感しました。しかもこの年になってまだまだ、ものがわかりかけている、としか思えないのです。

日常の出来事や出合いから、小さな子どもたちからも新しい見方を学ぶことが多いのです。

この本から良い刺激をいただけたことはもちろんです。

藤田純子

 

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私の一冊

西野内小代

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「空白の五マイル」 角幡唯介 集英社文庫

 

この本が出版され新聞に紹介された時に、とても気になったのですが手にする事なく数年が経過しました。

先日文庫本の棚で再会。

人跡未踏のチベット奥地にあり「空白の5マイル」と呼ばれている秘境の探検ルートが舞台です。半ば伝説として語り伝えられている場所です。

成功体験のノンフィクションと思いきや、結構重い内容でした。男のロマンというようなきれい事では片付けられません。

「空白の5マイル」に単独行で果敢に挑んだ作者の壮絶な軌跡の記録です。

西野内小代

 

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私の一冊

鳥山百合子

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「絵本のひきだし 林明子原画展」 朝日新聞社

「〜さんの絵だ」とわかったり「なんだか見たことがある」と思う絵。きっと多くの人たちにとって、林さんの絵はそんな存在なのではないでしょうか。それだけ多くの人に愛されているということやないかなと思います。

「しゃぼんだま」「きょうはなんのひ?」「かみひこうき」「はじめてのおつかい」「いもうとのにゅういん」…。
こどもの頃からいつも林さんの絵本は本棚にあり、数え切れないほど母に読んでもらったし、私もこどもたちに読みました。

この本には今まで描いた林さんの原画が収められ、林さんのこんな言葉が書かれています。

「絵本づくりの魅力は、ただの真っ白い紙の上に、ひとつの世界が立ち上がっていく楽しさかな。
夜描いてて、疲れたから明日にしようと思って翌朝に続きを描くじゃない?そこでいつも思うのは、翌朝にしないでその晩書き続けていたらどんな世界ができていたのかなって。」

朝になるとやってくる毎日や、これから歩いていく道のりや、明日待っているかもしれない出来事も、きっと真っ白な紙の上にあるのです。

毎日できることを積み重ね、ふと振り返ったときに、自分では思いもしなかった絵が描かれているのかもしれません。

鳥山百合子

 

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私の一冊

石川拓也

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「武器になる哲学」 山口周 KADOKAWA

著者の山口周さんは、最近とても面白いと思っている方。

前作の「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 」が世界規模で起こる(起きつつある)価値観の変化を捉えていて大変面白い内容でしたが、この一冊も一気に読んでしまうほど面白いものでした。

「哲学」と言った時に自分の中でも湧き上がる拒否反応。これはいくつか理由はあるのですが、古代ギリシアから時系列的に「勉強する」ことだったり、ただでさえ抽象的でわかりにくい書き方に加え、その思想の時代的背景がわかっていないのに言葉の字面だけを理解しようとすることが原因だったり。

この本は、そういった哲学本の書き方を避け、タイトル通り「武器になる」哲学の考え方にフォーカスを当てています。今、この時代に「武器として使う哲学」。

この意味で言えば、哲学とは「根本から問うこと」。現代社会において、自分の人生や仕事の質をより良いものにするために「根本から問う」ために必要なヒントが散りばめられています。

 

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私の一冊

藤田英輔

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「かまきりすいこまれた」 細田傳造 思潮社

今回はアルコール類を嗜みながら読んでみました。(ビール類は立ち座りが忙しくなるので×。氷や湯などの準備が面倒なものも今回は避けます。いつものワインにしました。桂月も可だと思います)

【結果】素面〜爽快期よりも、微酔〜酩酊初期がベストです。
酩酊後期や泥酔期、いわんや昏睡期に至っては話になりません。

 

微酔〜酩酊初期の中でも「〜」の時間に、『メリーズとパンパース』『三年寝太郎』『しんせつ』が、すーっと心に(目・頭だけでなく)入ってきました。

この感覚は人それぞれだと思われますので、是非お試しあれ…!(楽しかった)

藤田英輔

 

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私の一冊

鳥山百合子

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「星のような物語」 星野道夫 NHKプロモーション

写真家 星野道夫さんは1996年、取材先のカムチャッカ半島で事故により亡くなりました。

星野さんがもし生きていたら、お会いしたかった。星野さんの本を手に取るたびにそう思います。

星野さんのまなざしが伝わってくる写真と、星野さん自身の「軸」が隣に感じられるような文章がとても心に響きます。

「あわただしい、人間の日々の営みと並行して、もうひとつの時間が流れていることを、いつも心のどこかで感じていたい。」

「人の言葉ではなく、いつか見た風景に励まされたり勇気を与えられたりすることが、きっとあるような気がする。」

「これからどんな旅が待っているのか、自分自身にもわかりません。が、どれだけ長い時間をひとつの土地で過ごそうとまだすべて見ていないという心の白地図だけはいつまでも持ち続けたいものです。」

星野さんが暮らしたアラスカの空も、この場所の空も繋がっているんだということを思い出させてくれます。

 

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私の一冊

石川拓也

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「エンデの遺言」 河邑厚徳  講談社

事前の情報もなくなんとなく手に取った本だったのですが、予想外に深くすごい内容でした。ナメてすみません。

現代のほぼ誰もが無関係ではいられない「お金」というものの正体について、ミヒャエル・エンデがナビゲーターになり探っていく一冊です。

企画の途中でエンデが亡くなられ、 彼自身の言葉は比較的少ないのですが、本書はエンデが生前ずっと著書を側に置いていたという二人の思想家のお金や経済に対する考察に踏み入っていきます。

その二人とはルドルフ・シュタイナーとシルビオ・ゲゼル

どちらもそれぞれ表現は違えど「人間社会の多くの問題の根本的な原因は、『お金』というものが自然の摂理に則っていない事にある」と主張しました。

自然物や人間が作るものは、そのどれもが時間とともにダメになったり腐ったり価値を下げていく。それが自然の摂理なはずなのに、「お金」だけが永遠性を与えられているだけでなく、利子というものにより時間とともに増えていく。

ここに問題の根本があるという考えです。

特にゲゼルの考えはゲゼル理論と呼ばれ、1930年代のドイツやオーストリアで地域通貨に適用されます。つまり、時間とともに価値が減じていく貨幣。

これを導入した小さな町(例えばオーストリアのヴェルクル)では、町の中を猛烈な勢いで地域通貨が循環するようになり、疲弊していく近隣の町を尻目に経済は大回復したということです。

ただこの話には続きがあって、この地域通貨は中央銀行に目をつけられ、効果を誰もが実感していたにも関わらず、わずか一年で廃止。当時の町長は国家反逆罪で逮捕されたそうです。

その当時、もしも人類全体が「自然の摂理に適った貨幣」の方へ舵を切っていたなら‥明らかに歴史は変わっていたでしょうし、その道を見てみたかったようにも思います。いや、もしかしたら今からでも遅くないのかもしれません。

 

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私の一冊

藤田純子

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「セレンゲティ大接近」 アヌップ・シャー 日経ナショナルジオグラフィック社

「これは何ですかねェ アニキ」

「そんなこと俺が知るかよ…」

「な、なんか変な音がしましたぜ」

地面に置かれたカメラを見つけて、および腰のヒヒたちが小者のチンピラに見えてくる(笑)

アフリカ・セレンゲティ生態系に生きる野生動物の写真集。図鑑的な写真集とは異なる。

動物たちの顔の表情や群れの内部を間近でとらえ、野生の王国の「街頭スナップ」らしい雰囲気を醸し出すためのカメラの設置の仕方、接近の仕方に相当の努力があり、大移動中のヌーやシマウマに5台のカメラを踏みつぶされることもあったようだ。

弱肉強食や超アップの大迫力を存分に楽しめます。

藤田純子

 

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私の一冊

藤田英輔

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「詩集 人生の扉は一つじゃない」 大崎博澄 たんぽぽ教育研究所

困ったり、辛かったり、イヤになったり、どうしよう…、と思う時に開いてみてください。

「救求書」です。

藤田英輔

 

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