私の一冊

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

藤田純子

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

 

「バナタイム」 吉本ばなな 幻冬舎文庫

私は彼女のことを知らないで誤解していました。

「よしもとばなな」という名前を使用されているだけで、その人の傾向を勝手に想像して避けていた気がします。一冊の本も手に取ってみなかったのです。

この『バナタイム』は、「読んでみて」とお貸しくださった方にきちんとお返しできるように読んでみました。

何と目からうろこ…。

彼女はこんなに普通の人で、日々の生活の一喜一憂にもまじめに悩み、分析して、いまく負担を軽くして生きている気がしました。

スマホで画像をみてみると、とても感じの良い女性でした。

この本は初めて「よしもとばなな」を知った本です。

藤田純子

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

藤田英輔

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「池波正太郎 鬼平料理帳」 佐藤隆介 文春文庫

唐突ですが、これは何でしょう?

・英語で『象の足(Elephant Foot )とか悪魔の舌(Devil’s Tongue)といわれます。
・山河豚(やまふぐ)ともいい、男子たる者、時々は食すべしと云われています。
・これの四つ切りに2gの練り辛子をつけて食する場合、練り辛子の方がカロリーが高い、というくらい低カロリーな食品です。

鬼平犯科帳シリーズは、それぞれに料理の出てくる場面があります。季節や情景が映像となり(TVの影響でしょうか?)、そこに料理が並んでいるような表現がなされています。
この本は鬼平犯科帳の副読本(あとがきより)です。鬼平の本を読むと感慨深いです。

水のように冴えかえった冬の夕暮れ(本文より)、T・Y君(バンド仲間)からの真っ白な大根とK・Y嬢(絶景の処に住まわれています)からのこれをおでんにして、燗をつけて一緒に温まろうか、ねえ。

答え:蒟蒻(Konjac コンニャク)です。パチパチ!

藤田英輔

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

西野内小代

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「ハリネズミの願い」 トーン・テレヘン著 長山さき訳 新潮社

 

「本屋大賞」を取った作品にハズレ無しとの確信から購入した一冊です。

友達が欲しい一人ぼっちの臆病でさみしがり屋さんで取り越し苦労ばかりのハリネズミ君。考え過ぎて自己の中でストーリーを完結させ、自己否定の方向へと流れて行くハリネズミ君。

でも冬眠を目の前に「また会おうね」という素敵な言葉に出会います。

メルヘンのようなポエムのような・・・

誰にでも心当たりのありそうなお話です。

西野内小代

 

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

石川拓也

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone


『「ありえない」をブームにする つながりの仕事術』 佐谷恭 著 有限会社ソーシャルキャピタル

どのレールを選ぼうか、と進路に悩んでいる若者にもぜひ読んでほしい一冊。「選びたいレールがないんだったら自分でレールを敷いてしまえ」というような著者の生き方は目からウロコが落ちるかもしれない。

著者の佐谷恭は、世界初のパクチー料理専門店「パクチーハウス東京」を作り、現在の日本のパクチーブームを巻き起こした張本人です。

「パクチーハウス東京」…この店名にピンと来た方は…そうです、土佐町の集落・黒丸で2017年夏に開催された「1日だけのパクチーフェス in 黒丸」をとさちょうものがたりと共同開催して、黒丸をパクチーまみれにしてくれたあのパクチーハウスです。

その佐谷さん、2018年3月に予約が殺到する人気店の状態のまま、パクチーハウス東京を閉店しました。その後に出した本書によると、パクチー料理専門店を開くと言った時も「狂っている」と言われ、人気店のまま閉じると決めた時も「狂っている」と言われたそうです。ウケる…笑

でもこれはもう仕方ない。佐谷恭という人の中で確固とある「仕事をする目的」が、一般社会から見るとおそらく理解不能なんだろうから。ただ自身の感覚に忠実で純粋なだけなんですけどね。

自身の感覚を貫いて、いわゆる「世間」を見事に押し切っちゃってる人はぼくの友人に何人かいますが、佐谷恭もそのうちの一人です。

その佐谷恭がパクチーハウス東京閉店後に書いた「仕事論」。評論家の机上の話ではなく、実際に行動し、今も行動し続ける人の言葉には体を張った説得力が備わっているものだと改めて感じます。

 

こちらは「1日だけのパクチーフェス in 黒丸」の模様です。

パクチーハウスがやってきた!

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

鳥山百合子

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「だいじなくつ」 にしむらあつこ 福音館書店

この本の作者、にしむらあつこさんは、昨年土佐町に来てくれた西村繁男さんといまきみちさんのお子さんです。

あつこさんの「ゆうびんやさんのホネホネさんシリーズ」を子どもたちとよく読んでいたので、そのことを知った時はとても驚きました。

このお話は「ももちゃん」がお母さんに買ったもらったお気に入りの靴がなくなってしまって、あちこち探したけどなかなか見つからない。ももちゃんの靴を間違えて履いてしまっていた子も自分の靴を探していて…、最後はちゃんとお互いの元へと戻ります。

誰でも経験するような身近な出来事が一冊の絵本になっていて、ひとつひとつを大事に受けとめているあつこさんのまなざしを感じます。

最後「みつかってよかった、わたしのだいじなくつ!」の言葉に、「うん、うん、ほんとうによかったね!」って思わず言いそうになります。

それにしても、こどもの靴は色も形もサイズもさまざま。この前家に遊びに来てくれた子たちの靴が玄関に散乱、そして何人もが一斉に外に出ようと大混雑。そんな中でも「これ私の靴!」ってすぐに見つけられるのは、こどもの素晴らしい才能!と思うのです。

鳥山百合子

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

藤田純子

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「フジコ・ヘミング 14歳の夏休み絵日記」 フジコ・ヘミング 暮しの手帖社

最近、フジコ・ヘミングのドキュメント映画を見ました。

彼女は年老いたけれど、今の自分のスタイルで輝いています。しかも、心は16歳のままであるとおっしゃる。彼女は強いけれどもとてもかわいい、とても魅力的な女性です。

魂のピアニストと呼ばれている通り、彼女の人生やピアノの音色は私の魂をズキュン!と撃ちました。

戦後間もない1946年、フジコ14歳。この夏休み絵日記を通して、若い彼女の生活がよくわかり、この頃から生活の中心はピアノであって、貧しいときも不遇のときもピアノと共に生きてきたフジコを、より身近に感じられる本でした。

藤田純子

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

藤田英輔

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「ポケットに名言を」 寺山修司 角川文庫

出玉遊び等に入れこんでいた頃のこと。

ある珈琲屋で開いた文庫本に「この世で一番大きなタマは地球だ」とか「珈琲が苦い」だとかの文句があり、それを読んでいるうちに突然「もういいや」と思い、以来止めた。

道徳でも哲学的でもなく、ただ単純に自分が決めることなんだよ、と。世間は広く知らないことばかりじゃないかと思ったようだ。

煮詰まって焦げようとしていたようだ。

煮詰まれば何とかなるようだ。

そして本にはヒントがいっぱい詰まっているようだ。

若者(永遠の)よ、書をポケットに荒野へ出よう。(名言は内ポケットに)

藤田英輔

 

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

西野内小代

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「東芝の悲劇」 大鹿靖明  幻冬社文庫

 

 

不正会計問題でひとしきり世間を騒がせた「東芝」の崩壊に関するドキュメント作品です。

政界・経済界そしてトップ企業の込み入った事情が丁寧に描かれていてとても興味深い内容です。

難しい専門用語で表現されている箇所も多いのですが、経済学者でもジャーナリストでもない私は難解な言葉とは格闘せずに、ミーハー的な気分でサラッと読み進みました。

西野内小代

 

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

石川拓也

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「みんなでつくる総合計画」 チーム佐川著 学芸出版社

 

「まず地域がするべきことは、住民みんなで未来を描くことだ」

日本の地方自治体は10年に一度、「10ヶ年総合計画」を作成します。この総合計画に則って、続く10年を町や市が一丸となって前進していく…。と言葉で言うのは容易いですが、それはなかなかな理想論。

現実では多くの自治体で、ある意味「総合計画のための総合計画」になってしまっていることは否めないようです。つまり、多くの人に読まれ現実的な行動や施策に影響を与えていくというよりは、「作ることが目的」になってしまっているということですね。

そういった総合計画業界(そんな業界ないですが)の状況の中、佐川町が挑戦したのは「本気で住民に読まれる総合計画」。そしてその後に続く行動のひとつひとつが町を作っていくことだ、というスタンスですね。

この本は高知県の佐川町が2年間をかけて「総合計画作り」に取り組んだ過程と結果を読みやすくまとめた一冊。

みんなが本気で読んで考える総合計画にするには、みんなが参加して作る。もちろんそれが王道なのですが、この「みんなが参加」ってけっこう難しいんですよね。予定合わせて人を集めるのも難しい。全員が同様の本気度を保つのも難しい。

僕のような写真という一人メディアを職業にしている人間からすると、この「みんなで作る」という行為の大変さは本当によくわかります。佐川町のコアメンバーの方々は地味な汗をたくさんかかれたんでしょうと脱帽する思いです。

さて、土佐町。

土佐町の10ヶ年総合計画(土佐町では振興計画と呼ぶそうです)は2019年度に作成、2020年度より開始です。もうそのための布石である「住民幸福度アンケート」の作成が始まっています。

「自分の町は自分で作る」そう考えるみなさんの積極的な参加がカギを握るタイミングが近づいてきています。

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

鳥山百合子

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「とちのき」 いまきみち 福音館書店

昨年、土佐町に来てくれたいまきみちさんが送ってくれた一冊です。

この本をスライドにしたものをみつば保育園でも上映してくれました。

とちのみはとてもアクが強い実です。とちもちを作るために、とちのみを何日も川の水でさらし、灰とお湯を混ぜて煮詰めた中に味を入れてアクを抜くのだそうです。

そしてもち米と一緒に蒸して、ぺったんぺったん!

なんて美味しそう!

いまきさんの穏やかな優しい声が聞こえて来るようです。

「またらいねんも とちもちをたべたいな」。

季節はめぐっていきます。

いまきさん、またお会いしたいです。

鳥山百合子

 

 

 

*いまきみちさん・西村繁男さんご夫妻が、土佐町に来てくれた時の記事はこちらです。

西村繁男さんが土佐町にやってきた!

 

*土佐町に来た後、西村繁男さんがエッセイを寄せてくださいました。

土佐町と若い人たち

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone