とさちょうものがたり

土佐町のものさし

アンケート調査報告

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「この光景を守ること」も土佐町の幸せと言えるかもしれません

 

この記事は、とさちょうものがたりzine 05(2019年12月20日発行)に掲載したものをウェブに再掲載しています。

 

町内の多くのみなさまにご協力いただきました土佐町幸福度調査アンケートの詳細な調査報告書が、高知大学地域協働学部の廣瀬淳一先生から届きました。

今回はその報告書を元に、気になった項目から少しかみ砕いた形で一部をご報告したいと思います。

アンケート結果の報告としては不適切かもしれませんが、この欄ではなるべくグラフや細かい数字などを使わない説明を試みたいと思います。

この文章の裏付けとなる数値は「土佐町幸福度調査アンケート調査報告書」に全て掲載されています。ご希望の方は土佐町役場企画推進課までご連絡いただくか、この欄の末尾に掲載したQRコードから全文がダウンロードできるようになっていますので、ぜひ読んでみてください。

●自然との付き合い方

町の方々各々の個人的な自然に対する考え 方、実際の暮らしの中での自然との付き合い方を尋ねる質問がいくつかありました。例えば前節でもご紹介したQ25「私は自然の一部であり、自然の一部として生きることが幸せである。」という文をどう思いますか?というもの。

またQ27「土佐町産、自作の食物を食べる頻度」、そしてQ28「山の植物や動物に関する知識」に関しての質問などは、自然との付き合い方とその距離を尋ねているものです。

上の3つの質問と、「幸せですか?」という質問を掛け合わせた結果が示すものは、

自然との距離が近い人ほど、幸福度が高い

というものでした。

例えばQ25に対して「とてもそう思う」と答えた人では、同時に「幸福」と答えた人の割合もとても高く、「全く思わない」と答えたグループの中で「幸福」と答えた人の割合は低めでした。

Q27に関しては「毎日(地産のものを食べる)」と答えた人ほど「幸福」と答える割合も高く、Q28に関しても山の動植物に関しての知識が深いほど幸福度が高いという結果が出ています。

ではこの結果から言えることは何かと言うと、例えば

町の人々が上手に自然と付き合えるためにできることは何か?

という問いを立てることだと思います。

小さなことでいいので、具体的な行動としてできることは何だろう?と考え、実行に移す。小さな行動を、長い目で見て大切に育てる。個人と自然の関係は、役場や行政がどうこうする部分は多くないかもしれませんが、例えば地域の方々が自然と触れ合う機会を増やすきっかけを意識的に作っていくといったことはできるかもしれません。

 

●土佐町への愛着

Q24-mに、「土佐町の文化や特色に愛着や誇りを感じますか?」という質問があります。この質問の結果と幸福度を掛け合わせたならば‥

愛着や誇りの強い人ほど幸福度が高い

という結果がきれいに出ています。反対に、愛着を「あまり感じない」「全くない」と答えた人たちの中では自身を「不幸」と感じる割合が高くなっています。

またQ13には「土佐町の歴史や文化への理解度」を尋ねる質問があります。土佐町の歴史、特有の文化を理解し体験を深めていくことで、「他のどこでもない自分にとっての土佐町」への愛情も深まっていく。そしてそのことが土佐町に住む各個人の幸福度を高めていく。

そういった循環が個々人の心の中に培われていくことは「幸せ」を考える上で大きなキーワードになるようです。

●「土佐町の一員」感

「自分は地域コミュニティの一員である」と実感できるということは、幸福度と深い関係があると言われています。

Q24-a 「地元のコミュニティに所属していると感じるかどうか」という質問に対して、「とてもそう思う」と答えた方の幸福度は高い結果が出ています。

土佐町の住人の場合、「地域コミュニティ」という言葉で連想されるのはもしかしたら土佐町という範囲よりももう少し小さな地域、相川や石原や大渕や中島などの地域を思い浮かべる方が多いのかもしれませんが、コミュニティの大小に関わらず、「その一員である」という実感が持てるということは幸福感や安心感に直結することなのだと思います。

●幸せについての3番目の答え

「本当の幸福にたどり着くために重要なことはなんですか?」という質問がQ5です。これは自由記述で、重要と思うことを3つ書いてくださいという問いでした。高知大学の廣瀬先生は、この3つのうち3番目の答えが本音が隠れたキーワードではないだろうかと注目したそうです。この欄でも3番目の答えのみに絞って下にご紹介したいと思います。

年代別に区切っていますので、人生経験や体力などの変化と共に、「幸せ」に対しての感じ方や考え方も変化していく様子が読み取れると思います。

 

 

何が正解で何が不正解ということはもちろんありませんので、「幸せとは何か?」ということを考えるひとつの材料として、ぜひ一度読んでみていただきたいと思います。

また1番目2番目を含む全回答は、この欄末尾のQRコードからダウンロードできる調査報告書に記載されています。こちらも合わせて読んでみてください。

 

●幸福度をものさしにする

アンケートの調査報告はここまで。最後にもう一度、幸福度調査アンケートを実施したその目的と意味について、繰り返しになりますが書きたいと思います。

 

全ては行動のため

以前にも書きました。このアンケート、町の皆さんにご協力いただいて、結果を集計して分析して終わりでしょうか?そのためのものでしょうか?答えは明らかですね。

これは全てそのあとに続く行動のためのものです。日々の行動、仕事の取り組み方、町としての動きに少しずつ変化を与える。そしてその行動のひとつひとつに「なんのためにやっているのか?誰のためにやっているのか?」という視点を加えるためのもの。

土佐町が今後どのように生きていくのか?どのように生きていきたいのか?今から始まる未来へのスタート地点に、一度立ち止まって根本をみんなで考えるためのもの。

だからこのZINE05号は、土佐町の何かをまとめたものではありません。今後町が起こしていく行動に続く途中経過を伝えたくて作りました。

読んでいただいた方の心の中の小さな窓に、微かなそよ風が吹いたとしたなら、作り手として嬉しく感じます。

この章は、最後にひとつ寓話を紹介して終えたいと思います。

 

旅人が、ある町を通りかかりました。

その町では、新しい教会が建設されているところであり、建設現場では、二人の石切り職人が働いていました。

その仕事に興味を持った旅人は、一人の石切り職人に聞きました。

あなたは、何をしているのですか。

その問いに対して、石切り職人は、不愉快そうな表情を浮かべ、ぶっきらぼうに答えました。

このいまいましい石を切るために、悪戦苦闘しているのさ。

そこで、旅人は、もう一人の石切り職人に、同じことを聞きました。すると、その石切り職人は、目を輝かせ、生き生きとした声で、こう答えたのです。

ええ、いま、私は、多くの人々の心の安らぎの場となる素晴らしい教会を造っているのです。

どのような仕事をしているか。

それが、我々の「働き甲斐」を定めるのではありません。

その仕事の彼方に、何を見つめているか。それが、我々の「働き甲斐」を定めるのです。

ー田坂広志「日本企業の社会貢献 七つの心得」より引用

 

●調査報告書のダウンロードは以下から(画像クリックでもダウンロードが始まります)

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表紙は土佐町小学校の子どもたち

ZINE 05

「とさちょうものがたり」から生まれた土佐町の雑誌、「とさちょうものがたりZINE」5号が12月20日に発行します。

今号は「土佐町のものさし」。当ウェブサイトで連載中の「土佐町のものさし」を加筆修正の上1冊にまとめました。

今号は前半と後半、大きく2章に分かれています。

土佐町のものさし

前半が土佐町で2019年6月に実施した「土佐町幸福度調査アンケート」の経過・報告です。

「土佐町の幸福とは何か?」というなかなか一筋縄ではいかない疑問になんとか形を与える試みであった幸福度アンケート調査。その質問内容作りから実施、調査報告までの記事を掲載しています。

「私にとって幸福とは何か?」「町にとって幸福とは何か?」

もちろん簡単に答えの出る質問ではありませんが、個人が人生を作っていく上でこの質問を自問自答していくことがとても大切なように、土佐町という町のこれからを作っていく上で全ての行動のスタート地点にこの質問があることは大切だと思います。

この一冊は「土佐町はこうあるべき」という方向を示すものではありません。土佐町の方々がこれまで何を大切に思い町を守り作って来て、そしてこれから何を大切にして町を作っていきたいのか、その思いに焦点を当て、形にして共有するために作った一冊です。

町の方々のそういった思いを、もう一度振り返り確認し言葉にするひとつのきっかけになったら嬉しく思います。

 

裏表紙はブータンで出会った子どもたち

 

ブータンのものさし

後半は「ブータンのものさし」と題し、国民総幸福度による国の運営を進めているブータンからのレポート。

GNPやGDPの経済の指標に対する「GNH(幸福度)」という概念を産んだのがブータンという国です。

資本主義が一種の限界を迎え、この経済至上主義のシステムがどうやら多くの人々を幸福にできてないんじゃないかという疑念が世界的な広がりを見せつつある現代において、幸福度というものさしはあやふやで抽象的な部分を含みながらも、多くの国や自治体や個人の行動や事業の指針となりつつあります。

幸福度というものは、何か新しい概念のように見えるかもしれませんが決してそうではなく、経済(お金)の指標にともすれば押しつぶされがちなものや価値観、数字やデータにはなかなか反映できないけれど明らかに人々の幸福にとって大切なこと、そういった少しふわふわとした、だけど大切なものごとを、経済と同じくらい大切にしましょうよ、そういう考え方なのだと思います。

なかなか言葉にしにくい、数字にもしにくい価値観の部分を、総じて幸福度と名付けているといった言い方もできると思います。

この号の後半部では、その幸福度の生みの親であるブータンで見たもの聞いたことを、とさちょうものがたり編集長の石川の手による写真と文章でお伝えしています。

 

梅原真さん

これは実際にZINEを手にとって読んでほしいです。前後半のちょうど間は、とさちょうものがたりが尊敬してやまない高知のデザイナー梅原真さんに寄稿していただいたページです。

というのも、私たちが思うに、梅原真さんがこれまでに生み出してきた数多くの素敵なもの・ことは、まさに今号で特集した幸福度の考え方そのものではないですか。

梅原さん自身は「幸福度」という言葉で表現することはあまりないと思いますが、根本の部分で同じ根っこに繋がっていると、編集部では勝手に思っていたりします。

そんな思いから、梅原さんに寄稿をお願いして実現したのが特集2つの間にあるページです。

これはウェブでは敢えて公開しませんので、ぜひZINE05を手にとって読んでくださいね!

 

ZINE05はいつもどおり、土佐町の住民の方々には全戸配布します。12月20日あたりに配布されると思いますので楽しみにしていてくださいね。

土佐町外の方々は、こちらもいつもどおり以下の店舗や施設などで一定期間配布していただきます。配送時期は施設によってまちまちになりますので、お近くの施設でご確認の上ぜひ手にしてください。

 

ZINE

 

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土佐町ストーリーズ

長者の家

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むかしむかし、床鍋の保ノ谷のある家に、一晩泊めてほしい言うて女の人が来たそうな。

家の主は、それはしよいことじゃが、食べてもらう物もないが言うたと。

女は、何もいらん、泊めてもらうだけでええ、ただ私の寝た後で楮桶(楮を蒸す桶)をかぶせてほしい言うたと。

主人は言われた通りにしてあげたそうな。

夜が明けて桶をとんとんと叩くと、内からも叩くのであけてやったら、やっぱり人の姿でねよったと。

お世話になった言うて、帰りぎわに、お家はとても裕福なお家になりますよ、言うて出て行ったと。

その家はそれからますます栄えて長者になったそうなが。

桶の中には蛇の鱗が光っていたと。

町史

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「とさちょうものがたりin高知蔦屋書店」では、さば寿司づくり、布ぞうりづくりのワークショップも行いました。

蔦屋書店や道の駅などに置いたチラシ、新聞記事や折込チラシを見て、たくさんの方から申し込みとお問い合わせをいただきました。

参加してくださった皆さん、問い合わせてくださった皆さん、本当にありがとうございました!

 

 

11月17日 布ぞうり作りワークショップ

 

先生は土佐町の筒井政利さん。

昔は学校へ行く時、畑で仕事する時、雨や雪が降ろうがいつもわらじを履いていたそうです。筒井さんは、お父さんが藁でわらじを作っているのを見ながら作り方を覚え、同じ方法で布ぞうりも作り始めたとのこと。長い間、土佐町の人たちに布ぞうりの作り方を教え続けてきました。

とさちょうものがたり編集部も作り方を教えてもらいましたが、作る工程には「お〜〜〜!!」と感動する技がいくつもあって、昔から引き継がれて来た知恵は本当に素晴らしいとあらためて感じました。踏みごごちがとても気持ちが良く、ずっと履いていたいと思うほど。

筒井さんの熟練の技!一人ひとりに丁寧に教えてくださいました。

 

布ぞうりは古い布を裂いたものを自分の手と足を使って編み込んでいきます。何足も作るとなると布もかなりの量が必要になってきます。ワークショップをすることになったと土佐町社会福祉協議会の職員さんに話をすると「それならこれ使って!」と、いつか使う日が来るだろうとしまっておいた布を分けてくれました。助けが必要な時、いつも誰かが力を貸してくれるのは土佐町の懐の深いところです。

 

裂いた布を囲み、お互い教え合いながら作りました。

 

布ぞうりは編み始めが難しいので、そこで皆さん四苦八苦。筒井さんがマンツーマンで教えてくれました。最初に筒井さんに教えてもらった人が他の人にも教えてあげたりと、とても和やかな雰囲気でぞうり作りは進んでいきました。

2時間の予定でしたが時間を大幅にオーバーして、3時間ほどでみなさん完成!
最後のぞうりが仕上がった時「よかった!」と筒井さんがほっとした表情をしていたことがとても印象的でした。

 

 

小学生の女の子も、頑張りました!

色の組み合わせを考えながら最後まで一生懸命作りました。

 

とさちょうものがたりをいつも読んでくださっているという方も。以前、仕事の関係で土佐町に何度も来てくださっていたとのこと。

「このぞうりは孫にあげよう!」とお話されていました。作り方をあっという間に覚えて他の参加者の方に教えてくださいました。ありがとうございました!

 

自分のぞうりが完成すると、皆さんホッとした表情を浮かべ、そして「やったー!」という顔に。ものをつくることのなかには、昔から人が持ち続けている本能的な何かがあるのかもしれませんね。そして純粋に楽しい。

何もなかったところからあらたなものができていくことで、また次の出会いが生まれたりします。そうやってできた一つ一つの結び目が、また次の何かに繋がっていくのだと思います。

 


 

筒井さんもさば寿司の長野さんも今回のワークショップをとても喜んでくれました。

「今回こういう時間を作ってもらって色んな人と知り合えた。ありがとう」。そう言ってくれたことは私たちにとって何より嬉しいことでした。

おふたりは、自分のすることの向こうに誰がいるのか、日々その人たちの顔が見えているのでしょう。そのことが続けていく原動力になっているのではないでしょうか。

 

 

蔦屋書店でのイベントは、とさちょうものがたりが今まで積み重ねて来たこと、今、これからを考える大きなきっかけとなりました。自分たちのする仕事の向こうに誰がいるのか。何のためにこの仕事をするのか。自分たちへのその問いかけをいつも忘れずにいたいと思います。

 

「とさちょうものがたり in 蔦屋書店」、たくさんの方のご縁とご協力のおかげで開催することができました。
皆さま、本当にありがとうございました!

 

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「とさちょうものがたりin高知蔦屋書店」では、さば寿司づくり、布ぞうりづくりのワークショップも行いました。

蔦屋書店や道の駅などに置いたチラシ、新聞記事や折込チラシを見て、たくさんの方から申し込みとお問い合わせをいただきました。

参加してくださった皆さん、問い合わせてくださった皆さん、本当にありがとうございました!

 

 

11月16日 さば寿司づくり

 

さば寿司作りは、定員を大きく上回るほど申込みをいただきました。見るだけでもいいので来たいと言ってくださる方もいて、関心の高さを感じました。

先生は土佐町にある長野商店の店主、長野静代さん。長野さんは現在84歳。地元土佐町の食材を使ったお惣菜やお弁当、皿鉢料理やさば寿司を作り続けて来ました。

今から2年前、とさちょうものがたり編集部は、長野さんにさば寿司の作り方を教えていただきました。寿司飯の絶妙な味付けや、柚子酢に漬け込んださばに寿司飯を包み込む手さばきは惚れ惚れするほどでした。それは経験と時間を積み重ねて来た人だけが持てるもの。それはひとつの素晴らしい文化です。

40年間作り続けて来た長野さんの味と技、その姿をぜひ多くの方に知っていただけたらと思いこのような機会をつくりました。遠く高知市まで来てくださった長野さん、参加してくださった皆さんのおかげです。ありがとうございます。

 

まずは自己紹介からスタート!

 

生のさばを背開きするところを長野さんが実演してくれました。

 

柚子酢に漬けたさばに寿司飯を詰めていきます。

 

参加者の皆さんがそれぞれ一匹ずつ寿司飯を詰めました。いくつも並んださば寿司は壮観!

 

長野さんは「参加してくださった皆さんとお会いできたことがとても嬉しい」そして「とても楽しかった」と話してくれました。

ワークショップ後、自分の写真を見上げる長野さん。

 

参加してくださった方から感想をいただきました。

母がさば寿司を作ってくれていましたが作り方をしっかりと聞かないままでした。もう他界していますので、今回このワークショップを知り、是非参加したいと思い申し込みさせていただきました。家族もさば寿司が大好きですので、これからは作りたいと思います。長野さんのお店にも行ってみたいと思います。こういう機会があれば、是非また参加したいと思います。

 

一度自分の手でさば寿司を作ってみたかった。希望が叶いました。にこやかな長野さんのお人柄にも魅かれて楽しいひと時となりました。

 

以前より、さば寿司の作り方を習いたく、料理本等で作ってみたりしていましたが、実際教えていただいて色々勉強になりました。田舎寿司や郷土料理等、継承していただけると嬉しいです。今度のお正月は家族に尊敬されるかも?

 

今回のさば寿司のワークショップでは、高知ならではの料理の作り方を知りたい、またこういう機会を作ってほしいという声をたくさんいただきました。

高知には山のもの、海のもの、大地から生まれる豊かな恵みがあり、その地に根ざした知恵や手仕事があります。その土地ならではの文化を脈々と引き継いで来た人たちがいるからこそ今の風景があります。市井の人たちのそういった営みが、その土地の輪郭を作り出しているのではないでしょうか。

その土地で生きる人たちが培って来た知恵のバトンを受け取り、また次の人たちへと手渡して引き継いでいく。

とさちょうものがたりとして、そのようなことができたらいいなあと思い始めています。

 

 

参加してくださった皆さんと記念撮影。ワークショップ中、たくさん助けていただきました。皆さん、本当にありがとうございました!

(「とさちょうものがたり in 高知蔦屋書店、ありがとうございました! ワークショップ 布ぞうり編」に続く)

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2019年11月16日・17日、高知蔦屋書店で開催された「とさちょうものがたりin 蔦屋書店」!

来てくださったお客さま、出展者のみなさま、心を寄せてくださったみなさま、蔦屋書店のみなさま、本当にありがとうございました。

 

土佐町の人たち、土佐町の風景が蔦屋書店の風に揺れていました。

天井から土佐町の人たちと風景が揺れていました。

 

階段の踊り場から見た風景は、とても感慨深いものでした。

 

2階へ上がる階段横にも展示。

 

蔦屋書店正面入り口から見上げたところにも写真を展示しました。

 

数日前からコツコツと写真展の準備を開始。天井から吊るすことができる写真が想定していたよりも少なくなり、書店の担当者さんと相談して階段横や入り口正面にも展示ができるようにしました。本当に終わるのか?やれるのか?その気持ちは準備を進めるうちに消えて行きました。

他にもキネマ土佐町の上映準備や土佐町のポストカードを持ち帰ることができるように並べ、土佐町で暮らす人たちや風景のもとに吹く風を少しでも届けることができたらと思いながら会場を整えました。

あとは本番を迎えるだけ!この日までにやれることはやりきりました。

 

どんな景色が見えるかと本番が楽しみであると同時に、少し緊張もありながら当日を迎えました。

土佐町の出店者のみなさんが次々と到着し、自分の場所の準備をしている姿を見て「ああ、もう大丈夫だ」と心から思えたことはとてもうれしくありがたいことでした。この日を迎える前に、出店者の皆さんの仕事場へ伺い取材させてもらいました。どんな思いで仕事をして来たのか、喜びややりがい、しんどさ…。その人それぞれの持つ背景がこの会場の雰囲気と見事に重なっていたように思います。不思議なもので、その人それぞれが積み重ねてきたものは、姿そのものやその場の空気となって現れるものなのだなと感じます。

MISHIMA FARMの山中敏雄さん

 

sanchikaraの駄太井玲二さんと石原地区の山下恵子さん

 

季節の焼き菓子orioriの仙田聡美さん

 

山根くんのコーヒーの山根総介さん

 

le petit gouter (ルプチグーテ)の尾﨑美穂さん

 

笹のいえの渡貫洋介さん・子嶺麻さん・月詠さん

 

Forestさん(店主の宅間宏治さんを写すチャンスを逃してしまいすみません‥)

 

とさちょうものがたりが始まって2年半。高知蔦屋書店で開催できたのは、今まで出会った方たちとのいくつものご縁のおかげです。大切な人たちや重ねて来たかけがえのない思い出がいくつも心に浮かびます。蔦屋書店であらたな風景を見せていただいたことは、私たち編集部にとって大きな宝となりました。

 

 

 

書店入り口では、土佐町高須地区の花農家さんである澤田順一さん・みどりさん、息子の光さんが育てたトルコキキョウをお客さまに手渡しました。そのトルコキキョウは「みどり」という名前で、花びらの縁は淡い黄緑色をしています。(書店内の花屋さんは「お店に並べたいけれどなかなか手に入らない種類です」と話していました)

 

 

土佐町で育っているままの姿を届けたくて、あえてラッピングはせず、そのままのお花をお渡ししました。少し驚きながらもとても嬉しそうに受け取ってくださるお客さまたち。希望する方は新聞で包んで持ち帰ることができるようにしたのですが、お花を包む人のはにかむような嬉しそうな顔!

 

小さなお子さんがうれしそうにお花を手にしていた姿がうれしかったです。

 

トルコキキョウを手渡してくれた土佐町役場のおふたり

 

一本のお花を受け取る人たちの姿を見て、大切なのはこういうことなのではないかと感じました。ものや情報に溢れる今の世の中、本当に大切なことまで埋もれてしまっていないだろうか?心を込めて育てた一本のお花がその人の手の元へ届く。そのままがいいのだと思えたのです。

 

トルコキキョウが土佐町に吹いている風のそのままを、お客さまに届けてくれたように思います。

 

(「とさちょうものがたり in 高知蔦屋書店、ありがとうございました!ワークショップ編」に続く)

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私の一冊

矢野ゆかり

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「闇の守り人」 上橋菜穂子 偕成社

私は図書室で貸りた2冊を一晩で読みきり、守り人シリーズを進めてくれた友人に感謝を伝えにいきました。そのとき彼女は「私は闇の守り人が好き。特にバルサとヒョウルの舞う、槍舞いのところがすごい好き。想像できても言葉にできん。」確かこのように言っていたように思います。

今回の私の一冊は、「精霊の守り人」の続編、「闇の守り人」。

この巻は女用心棒として誰かを守ることで物語られるバルサが、自身の壮絶な過去と向き合う話です。

王弟の野心のため謀殺された父。親友である父の願いを受け入れ、地位も家族もすべてを捨て、自分を助け逃げ続けてくれたジグロ。追っ手として差し向けられたのは、かつてのジグロの盟友であり親友達。バルサの為に、彼らすべてを殺さなければならなかった、ジグロ。バルサは王弟に復讐するため、狂ったように短槍を振いました。ジグロは幼いバルサに槍術や体術と共に、様々な生きる術を叩き込んだのです。独りでも生きていけるように。しかし、バルサが夢みた復讐は王弟の病死であっけなく潰え、ジグロは病を得てあっという間に朽ちるように亡くなりました。それが6年前のこと、バルサが25~26歳の時です(私が前回物語に登場する歳に近づいたと表現したのは、このことからです)。彼女は過去をまざまざと思い出しながら、25年前、故郷のカンバル王国から新ヨゴ皇国へ逃げ道として使った、滝の流れ出る常闇の洞窟の前に立っていました。

「闇の守り人」は既に終わったはずの物語から、新たに始まる物語なのです。

故郷は記憶の通り貧しくとも、澄んだ空気に高い空に白く光る山々でとても美しい国でした。しかし、今だに続く陰謀が国を未曾有の危機にさらしていたのです。バルサも否応なく巻き込まれていきます。バルサは思います。どうして己はフクロウに追われるネズミのように、逃げ続けているのだろう。いっそ、この怒りの先に何があるか突き抜けてみよう。と。

バルサは、踏みにじられた父や己や養父ジグロの人生、人を殺す道を歩まざるを得なかった苦しみや痛み。復讐の相手はおらずとも、くすぶり続ける怒りと憎しみ。武人として戦わずにいられない暗い疼きと凶暴性。ジグロへの負い目や後悔。すべてに向き合い、怒りの向こう側へ向けて、答えを槍舞いに込めます。

私は「闇の守り人」に妙に引っ掛かりを覚えていました。読んでいると時々心がじくじくするのです。ジグロは王家の武術指南役で氏族長の次男であり、幼くして槍術の神童と呼ばれ誉高い人間でした。ですが、バルサを助けるために全てを捨てました。後悔がないとは言えないはずです。刺客たちは、かつての親友なのです。親友達の命を絶つ度に慟哭し身を割くような痛みを感じていたジグロ。一瞬でも、バルサさえいなければと、思わなかったはずがありません。著者はそのような場面を躊躇なく描きます。描写します。読者に想像させます。

私はこれを現実に置き換えてしまうことが度々あります。実の親子でもこの子さえ居なければ…“と思う一瞬が、誰にでもあるのではないかと思うのです。私は親ではないので、親の立場では分かりません。ただ慄くだけです。子としては、この子さえ居なければと親に思われる事があったのではないか、それだけの事を私はしたはずだといつも確信していました。私なんて、いない方がいい。この家族は4人家族でいいと、勝手に思ってしまうのです。この思考回路は、明らかに持病の一因です。

著者は、槍舞いで、体の動きや音や色を的確に描写し、二人の感情の全てを映し出しています。惜し気なくさらけだし、躊躇なくぶつかり合わせている。そうして、バルサはジグロの心を救い清め、シグロはバルサの心を慰め癒していく。舞い終わった後には新たな絆が結いなおされています。そういえば、この場面を最近私は体験したように思います。あれは多分、私と両親の槍舞いでした。私がこの世から居なくなりたいと思って行動した時、思っていたことを伝えた時、そうじゃない、ゆかりは大丈夫だと、大事だから必要だからと、両親に鼓舞されました。私は両親の言葉を信じました。なにかが結い直されたんんだと感じました。

今となっては、私の感じる「闇の守り人」に対する妙なじくじくした気持ちは、この感情をぶつけ合いへの羨ましさだったのかもしれません。今は守り人シリーズの中でも特別な1冊のひとつです。槍舞いは作中にある通り、ヒョウルを弔い、清める儀式。自分の中にあるどうにもならない気持ちを、どこかにぶつけて弔って清めてまた新しく、そんなイメージが持てるこの本は、私のような()ちょっと病んだ人や、悩める大人にオススメです。もちろん、小学生の時に出会っておくのも間違いありません。友達に「この本すっごくいいよ!」と自慢できるのですから。

それではこの辺で。

~ちょっと続き~

私に守り人シリーズを勧めてくれた大恩あるその友人は保育園、小中学校、高校、大学(学部は違えど)ほぼ一緒の腐れ縁です。彼女は今、白衣の天使もとい、白衣の阿修羅として日夜働いています(彼女を怒らせたくはありません!)。またしばらくしたら飲みに誘う予定です。近状報告と、守り人シリーズの話でもしながら。

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みんなのアルバム

相川小の二本杉

写っている人
  • 日時

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  • 撮影者

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「相川小学校の本棚から」シリーズです。

この二本杉、見覚えがある方々も多いのでは?

「みんなのアルバム」は土佐町の昔の写真を発掘して、みんなの「記憶の財産」として共有しましょう、という連載です。

昔を懐かしむためではなく、この地の人々はこうして町を作ってきたという道を少しでも知るために。

しばらく情報の全くわからない写真が続きますがひらにご容赦を!

公開した写真の情報は、どんな小さなことでも募集中です。なにかしらピンときた方は編集部までご連絡をお願いします。

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みんなのアルバム

若者たち

  • 日時

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こちらも、相川小学校の古いアルバムからの1枚。

現代でいえば、年頃は高校生ぐらいでしょうか。

卒業記念なのか何なのかわかりませんが、きっと当時は一人前になるのが今よりも早かった時代。

彼らもすでに大人の仲間入りをする頃なのではないでしょうか。

娘たちの着物は絵柄が豊かで、思わずカラーで見てみたいなあと思ってしまいます。

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くだらな土佐弁辞典

ひだるがつく

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ひだるがつく

ひだるは西日本やこの地域に伝わる妖怪・憑き物。人間に空腹感をもたらすと言われています。

山の中を歩く際に、ひだるがつくと体が動かなくなるそうで、そのための対策としてお弁当の中身を全て食べ切ってしまわないで、帰り道のために少しだけ残しておくように、という教えがあったそうです。

*これは、土佐町社会福祉協議会の上田大さんが教えてくれた土佐弁です。「おじいちゃんが言ってた。ひだるが来たらいかんき、一口(お弁当を)残しておく、って」。

 

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