私の一冊

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

山門由佳

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「あたらしい自分になる本」 服部みれい  アスペクト

20代は西洋医学を信じきっていた。けれどもなかなか身体のプチ不調から抜け出せずにいたそんな頃、この本に出逢った。

約十年…、 その中でも一番影響を受けたのが、「冷えとり健康法」。 冷えとり健康法の代表的ワザ、靴下の重ね履き。 それは絹→綿→絹→綿製の靴下を順番に最低4枚は履くという技。

絹は毒素を吸ってくれる作用があるのと、毒素は足裏から一番出ているということ。また絹の靴下の破れた箇所によって、身体のどこが悪いかまで言い当てる絹の凄いところ。

この靴下の重ね履きをしてから、いろいろと開眼してしまい健康おたくとなり、そのせいか、事実調子も良くなった。 でもちょっと騙されたと思って、とりあえず絹の靴下履いてみてほしい。 そこからきっとなにかがはじまります。

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

山門由佳

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「スウェーデンのあたたかい暮らし」 ピエ・ブックス

スウェーデンの冬は毎日暗く、そして長い。でもだからこそ、家の中での過ごし方がとびきり素敵な工夫で溢れている。

「北欧では暗く寒い冬のこの時期、屋内で何か楽しいことをするのは精神的にとても大切で意味のあることだと思います。」

キャンドルを灯し、手づくりの小物をつくったり、おやつを作ったり。手を動かし、ものを創り出す。 その暮らし方、風土は日本の東北地方にも共通点を感じる。

以前訪れた東北では、こけしをはじめたくさんの手工芸、手仕事の数々のすばらしさに心動かされた。さらにわたしの勝手な推測で、冬が厳しい土地の方は手先も器用なのではないか。。。?

この冬の厳しい嶺北地域もまた然り。スゴ技をお持ちの方が沢山いらっしゃる。さめうらの湖もあるし、土佐町はスウェーデン。。。? 冬でも心あたたまる暮らしを営むスウェーデンのイメージに重ねるとぽっと心に灯りが灯ったような気がしないでもない。

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

石川拓也

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

TRANSIT  N○ 54  「不思議で尊い世界の聖地へ」 ユーフォリア・ファクトリー

私(石川)もたまに撮影させていただいている旅雑誌「TRANSIT」の新刊(2021年12月)です。

数年前に、やはりTRANSITの仕事でオーストラリアの中心部、レッド・センターと呼ばれる地域に取材に行きました。赤い大地、乾いた空気、その中心には聖地ウルル。

2週間ほどの滞在で、アボリジニ文化と豪大陸の広さを堪能させてもらいました。

今回ご紹介している新刊は、「不思議で尊い世界の聖地へ」。世界の聖地が紹介されている中で、レッド・センター取材にあたり以前の誌面では使われることのなかったカットが掲載されています。

明け方のウルル。眠い目をこすりながら暗いうちから撮影を始め、じんわりと陽が昇ってきたタイミングで撮影した一枚です。

赤い土の上であのとき出会ったアボリジニの若者は、あの乾いた空気の中で今でも元気にやってるんだろうか。

このコロナ禍だからこそ、そんなことが無性に気になっています。

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

川村房子

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「鴨川食堂」 柏井壽 小学館

京都東本願寺の近くに、「鴨川食堂」をいとなんでいる父と娘、そして一匹のねこがいます。

店の体をなしていない二階建てのしもた屋で、かつて看板とショーウィンドーがあったようだとはいえ、空き家のような寂寞感はなく、人の温もりを持つ現役の店らしき空気に包まれていて何とも不思議です。

食に関する探偵社も兼ねていて、娘の聞き取りで父親が調べて、その味を再現する。

「料理春秋」という本に書かれている一行広告。連絡先も何も書いていません。「わかりやすい広告にしたら」といえば「それほど来てもろてもこまります」「ご縁があればたどりついてくれます」という。

はじめてのお客はおまかせのみという料理の内容も、食探しを引き受ける父と娘のやりとりも、そこに尋ねてくるお客さんも味があってあたたかくてほっこりさせてくれます。

第6話まであるのですが、土佐の鯖寿司の話も出てきます。

この作者、小説は初刊行だそうです。夜、眠るまでのひとときにはぴったりというか、土佐弁でいうぼっちりでした。

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

古川佳代子

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「タンタンタンゴはパパふたり」 ジャスティン・リチャードソン&ピーター・パーネル文, ヘンリー・コール絵 ポット出版

今から一昔前の2008年に翻訳出版された絵本(原作は2005年出版)ですが、知ったのは2年前、ブレイディみかこさんの著書『僕はイエローでホワイトで、ちょっとブルー』がきっかけでした。そこで「英国保育業界のバイブル。『はらぺこあおむし』や『かいじゅうたちのいるところ』と同様、どこの園にも必ずある名作」と絶賛されており、そんな名作を知らなかったなんて…、と不覚を恥じて即、読んだのでした。

NYのセントラルパーク動物園で恋に落ちた二羽のオスのペンギンの話で、実話に基づいて生まれたという絵本。男と女、夫婦、親子関係などを「こうでなくてはいけない」という鋳型にはめ込んで考えるのではなく、自由で色彩に満ちた世界をありのままに受け入れられる感性・素地を作ってくれるのは、こういう絵本なのではないかと思います。

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

古川佳代子

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「テンプル・グランディン  自閉症と生きる」 サイ・モンゴメリー著, 杉本詠美訳 汐文社

コロラド大学准教授のテンプル・グランディン博士は大柄で力が強く、自信にあふれて見えます。けれども本当は、自閉症を抱えている内気な女性です。専門は動物学。非虐待的私設の設計者として活躍しており、過去にはタイム誌の「世界で最も影響力をもつ100人」に選ばれたこともあります。

グランディン博士の生い立ちと、物事を「絵で考える」という特性を生かし、動物虐待防止の観点から彼女が設計畜産施設や食肉処理用の設計システム、そしてそれらが受け入れられる過程などが詳細に紹介されています。 畜産施設や食肉処理場に動物虐待の視点が必要などとは考えたこともありませんでしたが、「家畜によい一生を与えてやることは、私たち人間の務めである」と、家畜動物の福祉の必要性を説く言葉は、どれも記憶に刻まれる言葉ばかりでした。

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

西野内小代

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「大人の道徳」 齋藤孝 扶桑社

小学校時代「道徳」という授業があり、取り敢えず座っていれば可もなく不可もなくやり過ごせる時間、息抜きの授業だったことを覚えています。

「道徳」という単語を耳にすることも少なく、ゆとり教育時代には切り捨てられていたのではないかと推察する次第です。自由が尊ばれ、個性尊重が重要視されがちな現代、道徳について振り返るべくページを開いてみました。

他人を思いやる気持ちをベースに、身近なところでは日々の挨拶、メール等では代用できない対面での声掛け、当たり前のことを当たり前にすることが道徳であり、心をコントロールする技術こそ精神文化であり、それは周囲の大人たちがお手本となり、導くべき文化であることを実感しました。

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

古川佳代子

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「雪渡り」 宮沢賢治作, たかしたかこ絵 偕成社

冬になるとなぜだか宮沢賢治の作品を読みたくなります。「銀河鉄道の夜」「よだかの星」「どんぐりと山猫」…。どれも大好きな賢治の作品ですけれど、一番好きなのは「雪渡り」です。

寒いのは大の苦手ですが、雪渡りで描かれる一面の雪に覆われた野原や森の情景は、泣きたくなるほどに美しく、慕わしく思われ、清らかな寒さの中に身を置きたくなります。

「堅雪かんこ、凍み雪しんこ」「キックキックトントン、キックキックトントン」…。

文体はもちろん、四郎とかん子やオノマトペは何ともリズムがよく、声にだして読めばその都度、素朴な感動に満たされます。この幸福感は、賢治作品を読んだ時にしか味わえない、独特なものであるように思われます。

ここ数日で土佐町もずいぶん寒くなってきました。熱い甘酒と共に今夜あたり「雪渡り」を読み返してみましょうか…。

 

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

西野内小代

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「リンパのふしぎ」 大橋俊夫 筑摩書房

美容でも医療関係でも「リンパ」という単語はよく耳にします。フンフンと分かったような素振りでやり過ごしますが、改めて考えるとハテナばかり…。リンパ腺、リンパの流れ…、いったい体内のどこに存在し、どのように流れ、どこに行くのか…。少しでも知識の中に収めたいと思い、気持ちお手軽そうなこのタイトルに惹かれ、読んでみることにしました。

医学的な知識皆無の立場では、かなり難解!でも頑張って読み進み、やっと読み終えました。時間がかかってしまったために、最初のページの事柄は記憶に薄くなってしまいましたが、少しだけリンパの任務を理解でき、複雑な仕組みに敬意を払い食生活等に対して真摯に対処しなければと反省しきりです。

水分を摂る必要性の意味が具体的に理解でき、どのようにがん細胞がリンパの中を移動するのか、がんの転移を調べるメカニズムなど、身近な事柄としてイメージできる項目では読むスピードも増します。

白い血管とも呼ばれる「リンパ」、人体は不思議で精巧な造り、設計したのは誰?

最後はいつもこの疑問に到達します。

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone
私の一冊

古川佳代子

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone

「はがぬけたらどうするの?せかいのこどもたちのはなし」 セルビー・ビーラー文, ブライアン・カラス絵 こだまともこ訳 フレーベル館

人種、性別にかかわらず「人」と生まれたからには、誰しも経験すること。それは乳歯から永久歯への歯の生え換わりです。幼い時歯が抜けた時、その歯をどうしましたか?箱に入れて大事にしまいましたか?それとも屋根の上に投げ上げましたか?

この本は、アメリカ在住の作者 セルビー・ビーラーさんが、ブラジルから遊びに来た友達と歯が抜けた時どうしたかを話したおり、それぞれの風習が違うことを知ったことがきっかけで生まれた絵本です。

世界中のこどもたちは歯が抜けた時いったいどうしているのかしら?道路、お店、タクシーや飛行機、バスの中、行く先々でいろいろな国の人を呼びとめて聞いて回ったり、大使館を訪ねたり、ユニセフの事務所に問い合わせたり!なんていろいろな風習があることでしょう。もちろん、日本の例も登場します。

それぞれのお国柄が感じられる風習ですが、その根底にあるのは、こどもたちに健やかで丈夫な歯が映えることを願う親心。 この絵本を久しぶりに読み返し、友人に歯が抜けた時どうしたか尋ねてみたら「ネズミの歯とどっちが早く生えるか競争だ~、と言いながら屋根の上に放り上げたよ」と、当然のことのように答えが返ってきました。「へ~、わたしはねぇ…」と、そこから楽しく、お互いの幼いころの思い出を話したことでした。

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterEmail this to someone