私の一冊

 

 

山の人、町の人。先祖代々住む人、都会から越してきた人。猟師さん、農家さん、森の人、職人さん、商店さん、公務員…。

人口4,000人弱の土佐町にはいろいろな人がいて、いろいろな人生があります。

土佐町のいろいろな人々はどんな本を読んでいるのでしょうか?もしくは読んできたのでしょうか?

みなさんの好きな本、大切な本、誰かにおすすめしたい本を、かわりばんこに紹介してもらいます!

(敬称略・だいたい平日毎日お昼ごろ更新)

私の一冊

田岡三代

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「在来植物 高知嶺北 C・D・E・F・G」 山中直秋

やりました!

「やると言ったらやる」さすが山中直秋さんです。

前回は外来植物の本2冊を出しましたが、今回は地域の方のご要望もあり、「在来植物」の本、全部で5冊です。一冊1500円。

さっそく、待ちかねていた方々が購入しました。

植物を観る目の優しさ溢れる写真集。ほっと癒されます。

 

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私の一冊

西野内小代

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「大君の通貨   幕末「円ドル」戦争 」 佐藤雅美 文藝春秋

第4回新田次郎文学賞受賞作品です。

幕末期に為替レートの関係で、日本の金が海外に大量流出したという事柄だけはうっすらと記憶にありましたが、詳しい事実は全く知識としてなく、歴史上の出来事として通過してきました。

日本が世界経済に対する無知さゆえに相手国の言いなりとなり、駐日総領事(ハリス)個人の利殖目的のために翻弄された為替レートのからくりが詳しく描かれています。

事実を正しく把握し適切に処理しようと動く人物は色々な思惑により排除され、金流出を食い止める最後の砦を失っていく過程が、歴史経済小説として目の前に展開していきます。

世界経済に無知な国民と侮られたかと思うと、非常に悔しい。

 

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私の一冊

田岡三代

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「いつも私で生きていく」 草笛光子 小学館文庫

「え~っ?この顔で84歳?」先ず、表紙の写真に驚愕。そして、題名の「いつも私で生きていく」が心に響きました。

まえがきに「人生には、楽しいことだけでなく、悲しみも苦しみもあります。でも、辛いからといって、自分の人生を誰かにかわって生きてもらうわけにはいきません。だから、どんなときも”精一杯”の私で生きてきました。」。と、本の題名へこめた思いを書いています。

きっと、筋の通った生き方をしてきたんだろうなぁ~と、読んでみたくなりました。案の定、その瞬間、その瞬間を妥協なく生きてきた方の言葉は、輝いていました。

 

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私の一冊

浪越美恵

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「すべては脳からはじまる」 茂木健一郎 中央公論新社

この方は、テレビでも良くみかけるし、有名な脳科学者である事は、皆さんご存じだと思います。

心も体もすべて脳が命令していると言われますが、脳を理解する事は、つまり人間を理解する事である。

私達は、歓びも哀しみもすべて脳という劇場を舞台に起こる。私たちが体験する世界は、複雑で簡単には見渡すことができないが、究極のところすべては脳に起因するとあります。

これ以上書いても、私の文章力では引用ばかりになりますので、脳に興味ある方は手に取ってみて下さい。

 

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私の一冊

浪越美恵

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「ふたりからひとり  ときをためる暮らし それから」 つばた英子・つばたしゅういち 自然食通信社

この本に出会ったきっかけは、このお二人の生活をドキュメンタリー映画にした「人生フルーツ」を見た事でした。

本を売っていたので早速購入し、この「ふたりからひとり」は二冊目でした。

お二人は80代と90代という高齢ですが、日々を仲良く大事に大事に過ごされ、自然農法で野菜を作り、奥さんの英子さんは、ほとんどのお料理を手作りされています。

英子さんは「料理を作ることで、いつも心穏やかでいられる。私を支えているのは、台所じゃないかと思います。」と書かれています。本の中には、英子さんのお料理のレシピもたくさん入っています。

「ふたりからひとり」の題の通り、ご主人のしゅういちさんが亡くなるのですが、英子さんの言葉。

「誰かの為に何かやれることを探し、人の為にやる以外、私の生きる道はない。とにかく前向きにやっていかないと、自分はやっていけない」とあります。

映画の通り、ほのぼのとした本ですが、いつも前向きで、かわいらしい英子さんに拍手です。

 

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私の一冊

古川佳代子

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「貸出禁止の本をすくえ!」 アラン・グラッツ作 ないとうふみこ訳 ほるぷ出版

E.L.カニグズバーグの『クローディアの秘密』を読まれたことはありますか?

「他人とは違う」自分になりたくて、弟を相棒にしてメトロポリタン美術館に家出する女の子が主人公の読み応えのある作品です。以前、NHKのみんなの歌で流れていた「メトロポリタン美術館」の歌詞はこの作品からインスピレーションを得たとのことです。 この世界の人々に愛され、読み継がれてきた物語が「小学校の図書館にふさわしくない」作品だと貸出禁止になってしまいます。

主人公のエイミー・アンは13回読んでもまだ読み返したいと思うくらい『クローディアの秘密』が大好きな女の子。貸出禁止処置に断固反対で、心の中で猛然と反対意見を述べるのですが、実際に声にすることは難しく、せっかく参加した公聴会では言葉を飲み込んでしまいます。けれども最初は11冊だった貸出禁止本が、その後どんどん増えていってしまう事態に我慢できず、突飛な手段で、貸出禁止の本をすくうことを思いつきます…。

エイミー・アンとその仲間を応援しつつ、司書の1人として、いろいろと思いながら読んだことでした。

 

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私の一冊

鳥山百合子

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「宇宙兄弟 心のノート2」 小山宙哉 講談社

漫画「宇宙兄弟」の名言がまとめられている「心のノート2」。どのページも納得の名言ばかりですが、私にとっての特別な言葉があります。

主人公ムッタと日々人が幼い頃、二人の興味を宇宙へと導いた天文学者・金子シャロンの言葉です。

「人は何のために生きているのか」。幼い日のムッタの疑問に対するシャロンの答えは、『そんなつもりはなくても、人はね、誰かに“生きる勇気”を与えるために生きてるのよ。誰かに、勇気をもらいながら』。

私は今、自分でも言葉にできないようなもやもやした何かが胸の内にあるのを感じています。コロナウィルスの影響で行動が制限されていることも大きな影響を与えていると思いますが、いつまでこの現状が続くのか、先の見えない道のりにどこか疲れを感じている。それは私だけではなく、日本中、世界中の人たちが同じ問題を抱えているのだとわかっていながら、不安や疲れから言葉がきつくなり、今までだったら気にならないことが気に障り、ケンカや揉め事になることもありました。その度に、こんなはずじゃなかったのにとため息をつく。そんなことをしばらく繰り返していました。

でもある日、ふと顔を上げて見渡すと、周りには大切な人たちがいました。今までもいたはずなのに、私がちゃんと見ていなかったのです。ダメな時はダメだと叱ってくれる人がいました。何かできることはある?と声をかけてくれる人がいました。いつでもどんな時でも笑顔で迎えてくれる人がいました。

その人たちの存在に私はどれだけ支えられてきたか、前を向く「勇気」をもらっていたか。その人たちがいる環境をいつの間にか当然のように思ってしまっていましたが、それは決して当たり前のことではなかったのです。

人は、さりげない一言や行動を与え合いながら生きています。ふとした言葉やまなざしが誰かを救うことだってあるし、誰かを傷つけ苦しめることもある。「その人がそこにいる」ことには、思っている以上に大きな力があります。人が環境をつくっているのです。

今、日本中、世界中の人たちが皆、経験したことのない渦中にいます。大変な状況のなかですが、少しでも「生きる勇気」を与え合えるような言葉を、行動を、まなざしを互いに伝え合えたらと思います。

 

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私の一冊

浪越美恵

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「いまを生きる言葉「森のイスキア」より」 佐藤初女 講談社

佐藤初女さんの事は、ずっと以前に東北の方で、おにぎりで人の心を癒やす人と聞いた事がありました。

ある時、食事に入った店で待ち時間に手に取ったのが、この方の本でした。それ以後、また別のを読んでみたいと思っていました。

「いまを生きる言葉「森のイスキア」より」は、心のこもった手料理と、何気ないひと言で多くの人々が生きる力をもらった。

数珠の言葉を皆様に贈るとありました。

その中で心に残った言葉は、
○ 今の世の中に足りないのは、あるがままの自分を受け入れてくれる場所
○ 「その人の今を見よう」といつも思っています
○ 朝、気持ちよく「おはようございます」と声をかけることでも、ニコニコとほほえみかけるだけでも充分に相手を喜ばせることができます
○ あまり好感が持てない方で、出会った時腹を立てることよりも、ただその苦しみとともに、生きることを選びます

他にも、たくさんのすばらしい言葉がありましたが、ここには書ききれません。言葉というものは難しいもので思うようにはいきませんが、この本を読んで一言でも心に留めおきたいと思いました。

 

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私の一冊

古川佳代子

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「本好きの下剋上」 香月美夜著 TOブックス

まだ高知こどもの図書館に勤めていた時に、半端ない本好きの方から紹介いただいたのがこの作品です。

早速オーテピアに借りに行ったのですが残念、貸出中。それではと予約をしたところ予約数が10件を超えていて唖然としましたが、期待は否が応でも高まるというものです。

読書が何よりも好きで、読書のためなら食事を抜くのも睡眠時間を削るのも全く苦にならない女子大生が命を落とし、異世界の貧しい兵士一家の虚弱な5歳の女の子として転生するところから物語は始まります。 識字率が低く、書物はほとんど手に入らない状況に少女は「無ければつくればいいじゃない」と本を作ろうとしますが、肝心の紙すらない…。

本に対する執着心と図書館に対する絶対愛!万人向けの作品とは言い難いのですが、現在、新刊を追っかけている私のお気に入りのシリーズです。

 

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私の一冊

古川佳代子

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「廉太郎ノオト」 谷津矢車著 中央公論社

上野の東京芸術大学音楽学部校舎の前を通るたび、ここで学ぶ人達を羨ましく思っていました。音楽の才能に恵まれ、努力することを厭わない、選ばれし人たちのための学びの舎。なんて素敵な別世界!

とはいえ、芸大にも文化や音楽が理解されない不遇の時期があり、教授陣や学生たちが一丸となって艱難辛苦を乗り越え「音楽の府」の地位を築いたのでした。その中にいた一人が滝廉太郎です。日本の音楽家の中で燦然と輝く大作曲家の一人の滝ですが、彼だって初めから大作曲家だったわけではありません。 西洋音楽の洗礼を受け、自らの音楽を求める廉太郎と音楽学校の歴史が絡み合い、音楽を通じて芸術黎明期の時代をあぶり出している切ない青春物語。

秋の夜長にいかがでしょうか?

 

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