土佐町地蔵寺の名高山にはヤマラッキョウが咲きます。
11月に入ってすぐに見てきました。
道中には同じ頃に開花する準絶滅危惧種のヒメヒゴタイ(姫平江帯)があり、それを見るのも楽しみの一つです。
キク科トウヒレン属の二年草。草丈は30~150㎝でアザミに似た花を付けます。名前の由来は分かりません。
今年は生育する環境がすっかり変わっていて一帯が草に覆われていました。
数株しか見えないヒメヒゴタイでしたが、辛うじて道路沿いで咲いていた高さ1メートルほどの一株が写真に収まりました。
ヤマラッキョウはいつもと同じように咲いていました。
ヒガンバナ科ネギ属の多年草。
草丈(花茎)は30~60㎝というのが定説ですが、今年は80㎝ほどの背の高い株が藪の中で斜めになったり横たわったりしていました。
とは言え多くあるのは30~40㎝の個体です。
長い花茎の先に紅紫色の小さな花がたくさん集まって、径3~4㎝の球状になって咲いています。
花茎の先と一つ一つの花をつなぐ短い枝を小花柄(しょうかへい)と言いますが、この小花柄の長さが1.5㎝ぐらいまでにしかならないのがヤマラッキョウの特徴の一つです。個体差はありますが、ヤマラッキョウの花序(小さな花の集まり)はだいたい混み合っています。
オシベは花びらから先へ長く突き出します。
ヤマラッキョウの名前の由来は、栽培種のラッキョウ(辣韭)に似ていて山地に自生することによります。
ラッキョウはヒマラヤ地方が原産で、日本へは平安時代に渡来して薬用に用いられ、江戸時代になってから食用として広まったそうです。
子供の頃には畑の土手などでラッキョウをふつうに見かけたような気がしますが、この記事を書くにあたって探してみるとなかなか花にはたどり着けませんでした。
やっと見つけたのが土佐町上野の道路沿い。10株ほどが固まって藪の隙間から顔を出していました。すでに花期は終わり、果実になり掛けています。
栽培していたものが逸出して野生化したのだと思います。
一見ヤマラッキョウと同じですが、ラッキョウの草丈はせいぜい30㎝止まりです。花の数が少なく、小花柄が長くなる(長さ2.5~3.0㎝)のもラッキョウの特徴です。
両者の違いは実物があれば一目瞭然なのですが、写真でも花序の混み具合に焦点を絞ってみれば分かるかも知れません。
因みにヤマラッキョウはニラ臭があまりしません。山菜として利用されることもほとんどないそうです。