十二所権現
入蔵にある小祠で、今はその所在を知る者も数少ない。
その昔、十二匹の猿が出没し、人畜喰い尽くしてあと一家を残すのみとなった時、
通りかかった猟師が連れていた十二の猟犬でこれを喰い殺した。
その猿の死体を川に流した。
それは吉野川を流れ、その漂着したところ十二所権現として祀ったというのである。
それよりこの村では猿を見ると忌むのであるが、この十二所権現もその一つである。
現在は十二所神社とよばれており、
古老の中には土居地区の産土神は宮古野の白髪神社であるが、本来の産土神はこの十二所神社であると伝える者もある。
地区の人たちだけでなく、怪我のせぬように守護し給う神様ということで
大工や杣など林業に従事する人々の信仰にも篤いものがあった。
もち米の粉で作った団子十二個と灯明十二本を供え祀るしきたりがある。
土佐町史p906(一部略)