2021年1月から2月にかけて高知県内9市町村の郷土料理を撮影し、製作した動画をご紹介しています。
第7回目は、東洋町で作られている郷土料理「こけらずし」です!
人参、うす焼き卵、しいたけ、人参葉などの具材で飾られた、この彩りゆたかなお寿司の名前は「こけらずし」。高知県の最東端に位置する東洋町で作られてきたお寿司です。
びっくりするほどお米を使うお寿司で、とにかく大きい!まるで四角いケーキのよう。昔から冠婚葬祭などのお祝いごと、親戚や近所の人たちが集まるときに作られてきたそうです。
「こけら」の意味は?
「こけらずし」の「こけら」。これには「木っ葉」、「木片」という意味があるそうです。「木っ葉」のようなものを重ねた寿司、また「木片」を重ねたこけらぶきの屋根に似ている、など、この名の由来はいくつかあるようです。(諸説あります)
こけらずしは、木型に寿司飯を詰め、具材を並べる。その上にしきり板を置いて押す。それを繰り返していきます。寿司飯や具材を重ねていく様子は「幸せや喜びを重ねていく」という意味にもつながっているそうです。
寿司飯の味付け
寿司飯の寿司酢は、お馴染みの柚子酢に加え、焼いた鯖の身をほぐしたものを加えます。これを「酢にごし」といいます。鯖から出るだしが、寿司飯の味に深みを与えてくれているような気がしました。海が近い土地だからこその知恵なのでしょう。
東洋町のお母さんたちは、3枚におろしたさばを新聞紙に包んで焼く、という昔ながらの方法を見せてくれました。「新聞紙を剥がすと、鯖の皮も一緒に剥がれて楽」とのこと。う〜ん、なるほど!
人参は、こけらに入れるために植える
こけらずしに欠かせない彩りのひとつ、人参葉。東洋町では、こけらずしに使うために人参を育てている人も多いのだとか。撮影のために、お母さんの自宅の畑を見せていただきましたが、確かに人参が!
その土地で収穫できるものを使って、より美しく、より楽しく。作り方とともにその工夫も引き継がれてきたのでしょう。それはその土地ならではのかけがえのない文化であると思います。
「こけらずし」の文字は、どんぐりのメンバーさん
動画の冒頭、料理名「こけらずし」の文字は土佐町の障がい者支援施設「どんぐり」のメンバーさんが描いてくれました。手描きの文字は、動画全体に温かみを添えてくれました。
たたき切る!!!
なんと言っても見どころは、こけらずしの切り分け方!「たたき切る」という言葉がピッタリ当てはまります。
昔、祝いごとのある日は、こけらずしをたたき切る音が村のあちこちから響いてきたそうです。
軽やかな音を想像していましたが、「トン!トン!」というようなかわいらしい音ではありません!それは地面に響くような重力ある音で、高知という土地の持つ豪快さ、懐の深さを感じた瞬間でもありました。
編集部も切らせてもらいましたが、等間隔にたたき切るのは、なかなか難しい!でもかなりクセになります笑
「たたき切る!」、ぜひご注目ください!