五月、我が家に子猫がやってきた。
友人が保護している子猫の里親募集投稿をSNSで見た長女が「コネコ可愛い、飼いたい!」と言い出したのがきっかけだ。
「子猫はいずれ大人の猫になるんだよ」と諭したのを理解したのか、してないのか、「大丈夫、ちゃんと世話するから」と自信満々の彼女を信じて引き取ることにした。
猫に詳しい友人は、うちに居る雄猫との相性を考えて、一週間のお試し期間を設定してくれた。七日間一緒に暮らして問題が無ければ、無事家族として迎えることができる。
やって来た三毛猫は生後一二ヶ月。先輩猫であるいねおがどう反応するか分からなかったので、室内に小さなゲージを作って飼いはじめた。うちの子どもたちは柵の前に群がり、よちよち歩きの幼猫に興味津々だ。
食事は哺乳瓶に入れ適温に温めた粉ミルクを与え、排泄は日に数回、布で刺激して促す。自分の妹弟もこれくらい甲斐甲斐しくお世話をしてほしいものだと思うほど、長女はマメに面倒をみていた。
一方、突如現れた雌の子猫をいねおは最初訝しがりながらも、数日のうちに気にも留めなくなり、普段通り行動するようになった。これなら大丈夫と、お試し期間を終えて、ゲージから解放された子猫。身体にある茶色い斑がそう見えるからという理由で、長女に「くるみ」と名付けられた。さらに数日して、格好の遊び相手と判断したのか、いねおにちょっかいを出すようになった。尻尾に飛びついたり、耳を噛んだり。いつか怒られるのでは無いか、とヒヤヒヤしている周囲の心配を他所に、年上猫として適当にあしらういねおとの様子は非常に微笑ましく、僕らも子猫の存在に癒されていくのであった。
笹の猫となってから数ヶ月。実はとてもお天馬であることがわかってきた。
障子は引っ掻き傷でボロボロ、蚊帳に突進して大きな穴を開ける等々。ときには、いねおと喧嘩かと思うくらい激しい取っ組み合いや追いかけっこをして家中を走り回る。最近では狩りもするようになり、どこからか大きなカエルや虫を捕まえてきては、家の中で追いかけ回している。
そんなわけで、うちはまた少し大所帯となった。