「たんたのたんけん」 中川李枝子作, 山脇百合子絵 学習研究社
今にもページが破れ落ちそうなこの本は、「たんたのたんけん」。
「くりのきまちで いちばんいさましいおとこのこ たんの・たんた」君が、誕生日に「足もとへとびこんできた」地図を手に、探検に出かけるお話です。
たんたは探検の準備をするために、買い物をします。まずは帽子屋さんで帽子を、次にお菓子屋さんでキャンディを、最後におもちゃ屋さんで銀色の望遠鏡を。ヒョウの子「バリバリ・バリヒ」と共に、ライオン岩に飛び乗り、ジャングルを抜け、いよいよ着いたところは…?この先はぜひ本で!こどもが喜ぶこと請け合いです。
私が子どもの頃、惹かれてやまなかったのは、たんたがお菓子屋さんで買ったキャンディの存在です。それは「ザラメのついた、三かくのあかいストロベリィ・キャンディ」で、「口にはいるのがやっとの、大きないちごのあめ」であり、「今すぐなめても、おひるまである」という何とも魅力的なあめなのです。
本を読むたび、そのいちごの味が口の中に広がっていきました。そんな訳ないじゃないかと思うかもしれませんが、子どもの頃は本当にその味がしたんです。きっと、子どもってそういう力があるのです。
挿絵にあるのですが、たんたが行ったお菓子屋さんにはガラスのショーケースがあって、その中にいちごのあめが売られています。このお菓子屋さんに行きたい!と心の底から思っていました。それからもう何十年も経ちましたが、未だこういったお菓子屋さんには出会えておらず。でもまだ諦めた訳じゃありません。いつかどこかで、たんたと同じ本物のストロベリィ・キャンディを味わってみたいです。