蕗の薹の芽吹きが始まった頃の一日、土佐町の土居から南泉方面へ歩いて野の花を探してみました。まだ、風は冷たくて肌をさします。それでも嬉しいことに花の咲いている部分は暖かく感じられます。そんな場所がぽつぽつとありました。
オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢)
オオイヌノフグリがコバルトブルーの花を咲かせ始めました。星の瞳という美しい別名を持っています。小さな青い花びらが印象的な春の野草で、この花を愛でるファンは少なからずいるようです。
高浜虚子もその一人で、オオイヌノフグリへの感動を詠んだ句があります。
犬ふぐり星のまたたく如くなり
「虚子が出合ったのは時期がもう少し先の瑠璃色の花をいっぱいに散りばめた群生だったのではないだろうか」と、誰かが書いていました。
ヨーロッパ原産の帰化植物(※きかしょくぶつ)で、1887年に東京で初めて確認されています。日本にはイヌノフグリという在来種があり、それに似ていることから付けられた名前だそうです。果実の形を犬の陰嚢に見立てたものと言われますが、実際の果実はハートの形です。
※帰化植物…外国から伝来し、野生状態になった植物のこと。
キランソウ(金瘡小草)
石垣に張り付くように葉を出して、青紫色の特徴のある花が顔を出しています。キランソウです。名前の由来は諸説あってよく分からないようですが、別名のジゴクノカマノフタ(地獄の窯の蓋)という呼び名の方が似合っていると思いませんか。
(「早春の野草 その2」に続く)