【注意】今回はムカデについて書きました。嫌いな人(好きな人は少ないと思うけど)は、読まない方がよいかもです。
今年は梅雨入りが早かった。四国では例年より約20日も早いらしい。入梅までにやろうと思っていた作業予定を組み立て直す羽目になったけど、自然相手ではよくあること。状況に合わせて対応しよう。
湿度と気温が上がりムシムシしだすと、ムカデを見かけるようになる。
見た目や動きからして、ヤバそうな生き物であることが分かる。黒く長い胴体に赤い(青いのもいる)脚がたくさん。そして思いの外、素早い。強い毒を持っていて、噛まれるとそれはそれは痛い。僕は、体長5cm程度のムカデに噛まれたことがある。子どもサイズだが、それでもめちゃめちゃ痛かった(体質によると思いますが)。そんな彼らが室内を這い回ったり、寝ているところに天井からぽとりと落ちてきたりするから、家中騒然となる。
「茶」と書いた紙を逆さにして柱などに貼ると、彼らを遠ざける効果があると聞いたことがある。その字が天敵のクモの姿に似ているからという理由らしいが、言われてみれば、なるほどそう見える気がする。積極的な対処方法としては、捕まえて殺すのが一般的かと思う。ムカデなどを凍らせるスプレーも売られている。
うちも以前は同じように、補殺していた。しかし僕らが引っ越してくる前からこの辺に暮らしている彼らは、いわば先輩。数は相手の方が圧倒的に多い。闘いは向こうに分(ぶ)がありそうだし、キリがない。なんとか共存の道はないだろうか。でも、痛いのは嫌だ。
どうしたものかと考えあぐねていた数年前、左官屋のケンちゃんから「ムカデは結構、話のわかる生き物だよ」と教わった。家に来ないでねと話をすれば理解して来なくなる、と。またまたご冗談を、と思ったけれど、まあダメで元々やってみることにした。
出てきたムカデを火バサミで捕まえて、「ここは人が住んでるし、小さな子どもがあるから、外に行ってね。仲間にも伝えて!」と説得して、草むらにポイっと投げる。
それまで毎シーズン数匹捕まえていたムカデだが、この年はそれ以降見ることはなかった。翌年からシーズン最初に捕まえた一二匹を説得すると、家の中で見つけることがほぼなくなった。世の中には不思議なことがあるもんだ。いや一番不思議なのは、ケンちゃんだ。
以来、このメソッドを「説得&リリース」と名付け、毎年採用している。
今年は梅雨が長そうだし、ムカデの目撃回数が例年より多いと聞く。今シーズン、果たしてこの方法の効果があるのか不明だが、すでに二匹説得したので、そろそろ笹の周りのムカデコミュニティに伝わっているころだろう。
*個人的な体験です。