我家は毎朝・夕、鏡峰寺の鐘の音が聞こえるお寺の真下にあり、我家とお隣さん家とは、廊下でつながってて、靴をはかなくても行き来出来たの。
そのお隣さん家は、りっぱなお邸で、日本庭園まで備わってて、その庭は私達姉妹や近所の子供達の遊び場でもあり、よく「かくれんぼ」した記憶があります。
私達は、お隣の家主である浪越しげりさんの事を、浪越のおばあちゃんと親しみを込めて呼んだものです。
浪越のおばあちゃん家では、月1回くらい?本山町にあるキリスト教会の牧師さんが来られて、礼拝が行われてたの。
子供向けの日曜学校(礼拝)もあり、紙芝居や牧師さんの奥さんのオルガンに合わせて讃美歌を歌ったり、クリスマスにはキリスト生誕の小演劇もしたり。
今でも私が忘れる事の出来ない思い出があります。
それは、讃美歌を歌ってる時の事です。
「わが罪のため ”さかえ”をすてて 天よりくだり 十字架につけり」
私は、みんなが歌ってる歌詞の「さかえ」⇒「酒屋」と聞き違えたの。
礼拝が終わって、母と浪越のおばあちゃんに、「酒屋をすてたら、桂月のおじいちゃんが困るよ」と私が、涙をうかべて話したらしいの。
大人達はくすくす笑ったでしょうね。きっと!
懐かしくほほえましい想い出ですが、当の本人は本気で心を痛めたのです。
何はともあれ、日曜学校に集う子どもたちの本心は、浪越のおばあちゃんが用意してくれてるお菓子だったかもね。