私の住んでいる南泉の集会所の下から山に続いている小道があり、それを進んで行くと、子供達が「だいこん山」と呼んでいる山に辿り着く。
その頃は、南泉地区で所有している山で、木を植えているのではなくて、ソバを植えたり大根を植えたりしていたので「大根山」と呼んでいたのだろう。低い山で、その山の頂上には、大きい大きい(子供の私たちには舞台のように広く大きく思えた)平らな岩があった。
休みの日に子供達だけで、簡単なお弁当を作り、それと空きビンと梶ガラで作った三十センチ位の棒と少しの砂糖を提げて、大根山へと登って行くのだった。
途中の道端のそこここには、赤い丸い野イチゴがたくさん実っていて、それを採ってビンに入れながら三十分位かけて頂上まで辿り着く。イチゴは、小さいツブツブがいくつも集まって丸くそのツブには毛のような細い線がついていてすっぱい味だったので、親に内緒で貴重な砂糖をちょっと持って行き、ビンの中のイチゴを梶ガラでツンツンつきながら、ジャム状になったら砂糖で甘くして、ちょっとずつなめながら甘く楽しいひとときを過ごすのだった。
舞台のような石から北をみおろすと、馬場や森の家や田んぼが絵の様に美しく見えた。
今では大根山は杉や桧の植林となり、山道には野イチゴを見つける事は少なくなったけど、頂上の平らな大きい石はそのまま残っている。その石も、子供達が座って弁当を食べる事はなくなっただろう。
秋になり道端に赤い野イチゴを見つけると、小学生の頃、里山で遊んだ記憶が、鮮やかによみがえる。
式地健男
懐かしい光景が頭のでぐるぐる巡りますねぇ
西村真弓
いつも読んでくれてありがとう❗昔のことを思い出すのは年取った証拠ですね。