「大河の一滴」 五木寛之 幻冬舎
第一刷発行が平成10年4月15日というから、もう23年も前に書かれた本であるにも関わらず、読んでいて、新鮮でうなずけることばかりでした。
引用として挙げているエピソードに、アウシュビッツの収容所の事が出ていました。第二次世界大戦中、ナチスドイツがユダヤ人を連行し、残虐な殺戮が行われたアウシュビッツで、奇跡の生還をしたフランクルという人が、「夜と霧」というタイトルの本を書いているそうです。
その中で印象的なエピソードとして、この精神科医だったフランクルは、人間がこの極限状態の中を耐えて最後まで生き抜いていくためには、感動することが大事。喜怒哀楽の人間的な感情が大切だと考えるのです。そして、毎日ひとつずつ面白い話、ユーモラスな話を作り上げ、お互いにそれを披露しあって笑おうじゃないかと決めたのです。
私の廻りにも、自分が今まで生きてきた失敗談や、時には、後悔とも思えることも、笑い話に変えてしまう人がいるけれど、そんな方に限って、人生を楽しんでいるように見えます。
まさに、人間の「生きる」という本質がそこにあるのかもしれないですね。
久しぶりに、心の中のお掃除をした気分です。