二年前友人から三羽を譲り受けてからはじまった我が家の養鶏。二羽の雌鳥たちは毎日一二個の卵を産んでくれたが、七人家族の消費には追いつかず、また子どもたちの要望もあり、去年春に中雛を四羽購入、現在は八羽飼っている。
産卵するペースが鈍る冬の間にも関わらず、最近の母さん鳥たちは多いときには五つ以上の卵を産み落としてくれることもある。
巣箱をチェックすると、床にちょこんと鎮座している卵様。その佇まいに何故か癒される。
採れたものはサインペンで日付を書いて、台所の専用カゴに入れる。
ある程度数が貯まってくると、長女あたりから「そろそろ、いいんじゃない?」と提案がある。
家族全員で食べるのに一二個では足りないから、余裕をみてまあ十個くらいあれば夕食のおかずの一品として満足できるくらいの量になる。
しかし、大人気食材である卵には、「家族のおかず」よりも優先順位の高いイベントがある。
それは、「お弁当の日」である。
保育園や小学校では年に数回、お弁当を持参する日がある。
我が家では、お弁当のおかずはかなりの確率で、その子のリクエストが聞き入れられる習慣がある。そして、卵料理はこれまたかなりの確率でおかずランキング上位を占めるのだ。
自分のお弁当の日に卵のストックが無いと、とても悲しい気持ちになる。
なので、知恵のついてきた長女長男なぞは、その日が近づいてくると、卵を予約するようになった。
「明後日お弁当の日だから、卵二個取っておいてよ!」と言った具合だ。