分類シソ科ウツボグサ属の多年草
分布日本では各地に分布し、日当たりのよい草原や林縁などに生育する
概要花期は6~8月
撮影土佐町地蔵寺,立割/2022年6月, 2021年6月
盛夏に背を向けるように花だけを枯らしてしまうのがウツボグサです。黒っぽくなったままの果穂をいつまでも残しているのが特徴です。
ウツボグサの名前は、この花穂(※かすい)と果穂(かすい)の形に由来します。
昔、武士が弓矢を入れて背負った用具を「靫(うつぼ)」と言いますが、細長い筒状の花穂をそれに見立ててこの名がついたそうです。今や靫は時代劇の世界ぐらいでしか見かけることがなくなりましたが、当時は誰もが連想できる身近なものだったのでしょう。
花の色はふつう紫ですが、まれに薄い青(薄色)や白花のものもあります。
土佐町では、県道16号(高知本山線)沿いの道路脇に一ヶ所だけ、薄色のウツボグサの咲く場所があります。今年は6月24日に咲き始めたのを確認したのですが、一週間後には道路清掃作業によって跡形もなく消え去りました。去年もやはり似たような状況でした。こういう場所ではなかなかじっくりと観察することは出来そうにありませんが、それでも紫と薄色のツーショットが撮れました。
ウツボグサは生薬(※しょうやく)として有名な植物で、褐色になりかけた花穂を日干しにして用いると様々な薬効があると言われます。生薬は夏枯草(カコソウ)と呼ばれ、ウツボグサの別名にもなっています。
余談ですが、今年、高知新聞「声・ひろば」欄へ載せられたウツボグサの効能についての投稿が大きな反響を呼び、投稿者や薬局などへの問い合わせがたくさんあったそうです。ところがなんとその波は、「ウツボグサはどこにあるの?」という問い合せになって私にも押し寄せてきたのです。どこにでもある草ゆえにかえってピンポイントの場所が教えづらかったのですが、何人かの方には喜んでもらえたようです。
※花穂(かすい)…穂のような形で咲く花のことで、花が果実になると果穂と呼ぶようになる
※生薬(しょうやく)…植物などの薬効があるとされる部分を加工(乾燥させるなど)したもので漢方薬の原料となる