分類ラン科アツモリソウ属の常緑多年草
分布日本・中国・台湾原産。日本では北海道南部から九州まで分布する
概要花期は4~5月
撮影2023年5月/土佐町
存在感抜群!
葉も花も独特で風変わりな植物です。草丈は30~40㎝。
葉は放射状に多数の脈があり、縦ジワになって目立ちます。
印象的な扇形の葉が2枚対生するようにつき、40年ほど前にテレビCMで一世を風靡したエリマキトカゲを連想させるような感じです。
たぶん一度見たら二度と忘れません。
クマガイソウは、日本の野生ランの中では最も大きな花を咲かせるそうです。
花びらが大きく膨らんだ袋状の花で、クリーム色の地に紅紫色の斑点と筋が入ります。とてもユニークな形でこれが名前の由来になっています。
鉄砲が伝来する以前の騎馬武者が、大きな風船かパラシュートを背負ったような姿の戦国絵図を見たことはありませんか。
甲冑の背に幅広い布をつけて戦場で風にはためかせり、風をはらませたりして後方からの矢などを避ける防具としたもので、この布を母衣(ほろ)と言います。
源平合戦で、源氏の熊谷直実(くまがいなおざね)が自分の息子ほどの年齢(17歳)の平敦盛(たいらのあつもり)の首を討ったという話は有名ですが、その源氏の武将がつけていた母衣に見立ててこの名が付けられたそうです。
因みに熊谷直実に対して平敦盛の名を取ったのがアツモリソウ。
クマガイソウと対をなし、草姿がよく似ています。四国には分布しておらず、北海道と中部地方以北の高山に自生するそうです。
クマガイソウは低山の杉林や竹林などの日陰に生育するのですが、高知県では絶滅危惧種に指定されるなど、自生地を目にする機会は少ないようです。
土佐町にはクマガイソウが自生する場所が数カ所あります。
その何処も、今年はよく花を咲かせていました。
クマガイソウの咲く林内にはエビネ(海老根)の花も顔を出していました。