分類ハマウツボ科ナンバンギセル属の一年草
分布日本を含むアジアの東部から南部に生育する
概要花期は8~10月
撮影土佐町さめうらテントパーク/2023年
ナンバンギセルは10~20㎝の花柄を地上に出して淡紫色の花をつける寄生植物です。主にススキの根に寄生します。
土佐町の早明浦ダム湖畔にある「さめうらテントパーク」がまださめうら森林公園と呼ばれていた頃、この山の一角にナンバンギセル(南蛮煙管)とオミナエシ(女郎花)がセットで咲いていたことを思い出し行ってみました。
ありました!
直ぐに目に入ったのはオミナエシです。緑色の中に黄金色の花が輝いています。この時期の草原では目立つ花です。
ススキの根元にはあちこちでナンバンギセルが咲いています。相変わらず面白い形です。写真の場所には、花と蕾と果実がかたまってありました。ナンバンギセルは花姿をかつて南蛮人と言われていたポルトガル人などの船員がくわえていたマドロスパイプに見立ててつけられた名前です。
和名では思い草という別名があり、万葉集には「道の辺の尾花が下の思ひ草今さらさらに何をか思わむ」という一首があるそうです。この思い草がナンバンギセルの古名だというのが定説になっており、うつむいて咲く花の様子を忍ぶ恋に見立てたものだとか‥
この歌には「尾花」も登場します。ススキ(芒)のことです。今がまさに花の盛りで、黄色くぶら下がっているのはオシベです。
驚いたことに、以前には見えなかったキキョウ(桔梗)もあります。
キキョウは普通に成長すると50~100㎝の草丈になるのですが、20~30㎝の低い草丈でススキの葉の下へ隠れるようにして咲いていました。野山に自生するキキョウは土佐町を含む嶺北ではまだ確認されておらず、近くで植栽されたものからタネが飛んできたのかも知れません。
「アレッ!」
オミナエシ、ススキ、キキョウ。秋の七草のうちの3種がありました。
もしやと思ったりしながら歩いていたらマルバハギ(丸葉萩)にも出くわしました。
七草のハギはヤマハギ(山萩)の方を指しているそうですが、土佐町ではヤマハギは確認されていません。
さらにフジバカマに似た花もありました。
この花も類似種が沢山あり、私の知識では確定的な種名が分かりません。
他にもヒヨドリバナ、オトコエシ、アキノタムラソウ、キンミズヒキなど花はいっぱい咲いています。
ナンバンギセル目当てで行ったのですが、秋の七草探しのようなことになってしまいました。七草のクズ(葛)とナデシコ(撫子)の姿は見えませんでしたが、どちらも土佐町の山野に自生している植物です。
秋のさめうらテントパークはなかなか楽しめます。
野の花は花壇の花を眺めるように簡単には見えませんが、草をかき分けながら探してみてください。きっと感動があると思います。
※秋の七草の覚え方⇒おすきなふくは(お好きな服は)
お(オミナエシ)、す(ススキ)、き(キキョウ)、な(ナデシコ)、ふ(フジバカマ)、く(クズ)、は(ハギ)