連載「ふるさと教育」では、土佐町小学校で行われている郷土を知るための授業の様子を取り上げていきます。
2024年11月29日、土佐町小学校で「出前授業」がありました。
JA(*)高知県れいほく花き部会の農家さん、JA高知県土長営農経済センターれいほく営農販売課と高知県嶺北農業改良普及所の方たちが、小学校3年生の子どもたちにフラワーアレンジメントの作り方を教えてくれました。
現在、「JA高知県れいほく花き部会」は土佐町と本山町の花き農家 5軒で構成されています。
この日は土佐町から澤田みどりさんと上田裕介さん、本山町は畠山祐樹さんとかおりさんが来てくれました。
JA高知県れいほく花き部会の皆さんが実際に育てている花を持ち寄り、用意してくれました。
トルコギキョウ、マリーゴールド、ストック。そして、“世界でここにしかない、嶺北にしかない花”「ノーブル」から生まれた品種のノーブルアイカ。それから、ユーカリもありました。
黒板の前に並べられた花たちはみずみずしく、しなやか。教室は新鮮な香りで満ちていました。
トルコ人のターバン?
まずは畠山さんのクイズからスタートです。
◯「トルコギキョウ」の「トルコ」の由来は?
うーーん???
顔を見合わせる子どもたち。
答えは、「トルコギキョウのつぼみがトルコ人のターバンによく似ているから」
お〜〜!確かに!なるほど!
◯昨年1年間で、嶺北の花農家さんが出荷した本数は?
100本?一万本?
答えは、33万本。
子どもたちから「えーー!!すごい!」と歓声が上がっていました。
お菓子みたいな匂い
次は実際にアレンジメントを。
土佐町の花き農家、澤田みどりさんが教えてくれました。
4種類の花を手にし、鼻を近づけてくんくん。長い茎はハサミで切りながら、思い思いに吸水スポンジにさしていきます。
「葉っぱ、食べられそう」
「お菓子みたいな甘い匂いがする」
友達と話しながら、自由に。切った茎ももったいないから、と吸水スポンジにさしている子も。
「お母さんにあげたい」
「お家に飾りたい」
とても楽しそうな顔、そして優しいまなざしで花かごを見つめる子どもたちでした。
「吸水スポンジが乾いてきたら、あさってくらいに、やかんか計量カップに水を入れて、花や茎にかからないようにお水をあげてね」
と、みどりさん。「お湯じゃないで、水やで!」と念押ししていました。
花っていいな
「庭で花を育てている家庭や、家に花を飾るお家が少なくなっていて、子どもたちが生の花に触れる機会がなかなかないのよね。こういった機会を通して、“花っていいな。お家に花があるっていいなあ”と感じてもらえたら」
みどりさんはそう話してくれました。
嶺北農業改良普及所の山田さんは「花を買う人が減っているので、買って飾ってほしい」とも。「花っていいな」という気持ちが、花を買おうという行動になり、それは花を育てる花農家さんを守ることにもつながります。
両手で抱えるように、そっと花カゴを抱える子どもたち。
持ち帰るため、友達同士で大切に袋に入れている姿が印象的でした。
この地で花を育てる人たちがいるからこそ、この土地の花が咲き、花を手にすることができます。
れいほくの花の手ざわりと香りを記憶の片隅に留め、大きくなっていってほしいなと願っています。
*JA …農業共同組合