「とさちょうものがたり in 高知蔦屋書店(11月16日・17日開催)」出店者紹介
この記事は、2019年11月16日・17日に開催される「とさちょうものがたり in 高知蔦屋書店」に出店する土佐町の事業者さんたちを紹介するページです。イベント当日は、ここにご紹介していく土佐町の食べ物や木工品を製作販売している方々が集結します。みなさまぜひお立ち寄りください!
Forest
以前ブライダルの仕事をしていた宅間宏治さんが転職を考え始めたのは、今から9年前。
次に何をしようかと考えていた時に頭に浮かんだのは「大工さんになりたかった」という小学生の頃の夢でした。
ハローワークで知った木工の仕事を始め、その4年後に独立。
「ものづくりがやめられなかった」という宅間さんは、生まれ故郷である土佐町で、工房「Forest」を構えました。
以前勤めていた場所で作っていたヒノキの一枚板の製品は、落とすとあっという間に割れてしまう。せっかく作ったものを長く大切に使ってほしいと、どうしたら丈夫なものができるのか試行錯誤を始めました。
宅間さんが注目したのは竹。高知産の孟宗竹です。
竹を幅2,5センチ、厚さ4ミリに切ると定規のようなかたちになります。その面同士を貼り合わせていくことで竹の厚い層を作り、その側面からスライスしてできた板を作って商品を製作しています。この作業はとても手間がかかりますが、こうすることで落としても割れない丈夫なものができるそうです。試しに持たせてもらいましたが、ずしりとした重みがありました。
板にするために使う竹の面積は一枚板の二倍以上。竹の根元を使うか、葉先を使うかによっても強度は違うそうです。「葉先の方が硬い」と教えてもらった時は驚きました。
お客さまからこんなものを作って欲しいと頼まれたものを作り始め、目の前にかたちとなって現れた時には「よっしゃあ!」と膝を打つ、と宅間さん。
「作れるか作れないかは自分との勝負、自分との競争。人間っていうのは想像できたものは絶対かたちにできるはずや」
その思いが宅間さんの信念です。手渡す時にお客さまが喜んでくれる顔を見るのが嬉しい、と話します。
「お客さまは、その商品ができるまでの苦労は知らない。当たり前のようにできると思っている。だからこちらも当たり前のように作ってその思いに応えないといけない。やってみて赤字になる時もあるし、しんどい時もある。でもそれも自分のスキルになるんやから」
その経験を積み重ねることで色々なことができるようになる、と話してくれた宅間さん。自分のアイディアと行動で道をつくってきた人の強さを感じました。
宅間さんは、東京日本橋の三越での出張販売や、土佐町小学校での授業なども行なっています。作業場の壁には、子どもたちが書いたお礼のメッセージが大切に飾られていました。
「ここが自分にとっての故郷だから。結局帰ってこれるのはここしかない。自分の子どもたちにもそう思ってもらえたら」
蔦屋書店のイベントでは、ぜひ宅間さんの竹の製品を手にとってご覧いただけたらと思います。
細部に施された工夫を、多くの方に知っていただけたらうれしいです!