緑色の夏の野山で目立つのがオレンジ色の花。土佐町でも7月頃から8~9月にかけてあちこちに咲きます。どれもよく似ていて遠くからでは何の花か分かりませんが、近寄って見るとそれぞれの持つ風情を楽しむことができます。
①ヤブカンゾウ(藪萱草) ワスレグサ属の多年草
今年一番早く目にしたのは食用にもなるヤブカンゾウ。八重咲きの賑やかな感じの花です。
ワスレグサ(忘れ草)という別名があり、古来からこの花の美しさや美味しさにふれると憂いを忘れるといわれます。一日花で、英語ではDaylily(一日しか咲かないユリのような花を持つ植物の総称)と呼ばれます。
②ノカンゾウ(野萱草) ワスレグサ属の多年草
花が一重で、華やかなヤブカンゾウの雰囲気とは少し異なります。
夏の夕刻、時折涼やかな風が吹いてくるような静かな場所に調和するような花です。感傷とか寂寥とかではなく、開放的な安心感に浸れるような気がします。
土佐町の生育地は限定的なようです。地蔵寺と東石原でしか見たことがありません。
③コオニユリ(小鬼百合)ユリ科の多年草
垂直分布が広く、山の上の方まで自生が見られます。
名前は、見た目がそっくりのオニユリに比べて全体的にほっそりとして小さいことに由来します。オニユリは葉の付け根に黒い実(ムカゴ)が付きますが、コオニユリにはできません。
オニユリの自生地は土佐町にはなく、観賞用のオニユリが家々の庭に植えられているのをよく目にします。
④オオキツネノカミソリ(大狐の剃刀) ヒガンバナ科の多年草
分類上はキツネノカミソリの変種とされ、雄しべが長く花冠から飛び出すのが特徴です。キツネノカミソリの雄しべは花冠の中にすっぽりと収まっています。因みに土佐町ではキツネノカミソリは確認されていません。
ヒガンバナの仲間で花の時期には葉がありません。花姿がワスレグサ属の植物に似ていますが、ヤブカンゾウやノカンゾウが食用になるのに対しヒガンバナ科の植物は有毒です。