先日、土佐町のウエブサイト「とさちょうものがたり」の雑誌版とも言うべき、ZINEの第3号が発刊された。
なんと、まるっと一冊、笹のいえ特集だ。
このサイトに連載している記事から選んだ文章を少し手直しして、写真は新たに数枚追加し掲載した。
記事を改めて読んでみて、ふと「土佐町の人たちは皆、こんな暮らしをしているのか」と誤解されるのではないか、と思った。
以前、笹のいえを見学しにきたある移住希望者が、
「土佐町の移住者って、皆さん、こんな暮らしをしているんですか?私にはちょっと無理ですー」
と、冗談とも本気ともとれる感想を話してくれた。
いえいえいえ。僕らの暮らしは、だいぶ変わっているけれど、ほとんどの町民の皆さんは普通に現代的な生活を営んでいますよ。と焦りつつ答えた覚えがある。
この本は確かに「渡貫家の暮らし」を紹介しているが、世界中に多種多様な生き方がある中で、この4,000人ほどの町にもそれぞれの暮らし方がある。そして、僕らの生活もその中のひとつに過ぎない。
読者が、僕らの日常を読み終えたとき、どう感じるだろうか。
ある人は、この町に興味を持ってくれるかもしれない。
ある人は、「懐かしい」と言う思いを抱くかもしれない。
またある人は、その人にとっての大切な部分に触れたと感じるかもしれない。
どう受け取るのかはもちろん異なるし、それが肯定的でも否定的でも、反応があるならとても嬉しい。
話は変わるが、表紙の家族写真は、秋深まるある日に拓ちゃんが撮ってくれた。
撮影前、カメラが子どもたち四人の目線を捉えるのは至難の技だろうと予想され、「今回ダメでも何度か挑戦しよう」と言う話だった。子どもらが落ち着くまでに時間が掛かったし、何度もシャッターを押すことになったけれど、さすがプロカメラマン、見事全員の笑顔を収めていた。拓ちゃんの技術もさることながら、これまで、何度も笹のいえに遊びに来てくれていたので、子どもたちが彼を信頼していることがリラックスした表情に現れている。
結局、撮影したのはこの時だけで、そのまま表紙に採用された。
この記事の写真は、何十枚も撮影したうちの一枚。ふざけたり、アクビをしたり。採用されなかったけれど、子どもたちの性格が出てる。こっちの方が僕たちらしいかな。
写真撮影:石川拓也