未だかつてこんな立派なレタスを手にしたことはなかった。正真正銘、私が種をまき、次から次へと周りに生えてくる雑草を引き抜きながら育てたレタスだが、今まで大抵の苗や植木を枯らしてきた私には、自分で育て上げたということがいまいち信じられない。
今年の春、草茫々だった畑の草を鎌で刈って、耕して、畝を立てた。5月頃、レタスの種をまいた。しばらくすると小さな芽を出し、隣り合った芽同士で切磋琢磨するように大きくなっていった。それはちょっとした感動を覚えるほど、新鮮な体験だった。
毎日、畑に行くのが楽しみになった。毎日足を運ぶようになると、わずかな変化にも気づくようになる。
ある日、大きくなりつつあるレタスのそばに、昨日はなかった何かの小さな芽がいくつもあることに気づいた。いつもならすぐさま引き抜くだろうに、なぜかこの時はそうしなかった。次の日も、その次の日も、その小さな芽は増えていった。
小さな芽が成長し、葉となって初めてわかった。それは青紫蘇だった。種子をまいた覚えはないのに、あっちにもこっちにも、畝を無視した紫蘇たちが生えてくる。
多分、土の中にまぎれていた種が、掘り起こされて光を浴び、眠りから目覚めたのだろう。
青紫蘇は好きなのでうれしかった。すりおろしたニンニクとごま、醤油を和えたタレに青紫蘇を漬け、ごはんのお供をせっせと作った。が、最近手がつけられないほど勢力を増し、利用が追いつかなくなってきた。正式に畝に種子をまいたレタスや、オクラやスイカ、イチゴの苗を脅かすほどの勢いである。
季節柄、他の雑草も負けてはおらず、畝に何が植わっているのかわからないほど、青紫蘇は緑々としてきた。そろそろ仕分けをしないとと思っているのだが、せっかく芽を出したのにね、と思うと何だか気の毒で、その日をあと伸ばしにしてきた。
今現在、あと伸ばしにし過ぎて手がつけられなくなり、一体どうしたらいいかと頭を悩ませている。
レタスと青紫蘇、欲しい方はお伝えください。