「とさちょうものがたり in 高知蔦屋書店(11月16日・17日開催)」出店者紹介
この記事は、2019年11月16日・17日に開催される「とさちょうものがたり in 高知蔦屋書店」に出店する土佐町の事業者さんたちを紹介するページです。イベント当日は、ここにご紹介していく土佐町の食べ物や木工品を製作販売している方々が集結します。みなさまぜひお立ち寄りください!
sanchikara
土佐町・高知県れいほく地域の野菜を東京や大阪、全国へ届けようと奮闘している「sanchikara」。関西出身の上堂薗純高さんと釜付幸太郎さんは、土佐町の人たちの人柄や自然に惹かれて暮らし始め、この地の野菜や食べもの、水の美味しさに大きな可能性を感じたそうです。
2017年に「sanchikara」を立ち上げ、今や全国各地の約200カ所に土佐町・れいほく地域の野菜を届けています。
生産量は多くなくても多種多品目を作っている中山間地域。
例えばれいほく地域のゼンマイは、全国でトップクラスに入るほどの品質なのだそうです。作っているものを市場に出せば評価されるものが多くあるのに、その存在が知られていない。そのため売れない、生産者さんの減少、高齢化、後継者問題など、課題はいくつもあります。このままだとゼンマイも他の野菜も近い将来なくなってしまう…。
この地の農業が直面している課題をどうしたら解決できるのか。生産者さんが作るこの地の作物を市場で高く売り、中山間地域の農業をこれからも長く維持するための仕組みをどうやったら残せるのか。
「sanchikara」は日々、生産者さんと共に試行錯誤しています。
農業を維持するためには、生産者さんの所得が向上することが必要です。
そのために何ができるのか?
2人は、土佐町・れいほく地域では冬の作物を作ることが難しい現状に注目しました。
冬の間も育ち、収穫できるものがあれば所得が上がる。
そう考えた2人はまず自分たちの畑で人参やかぶなどの冬野菜を育て始めました。その中でうまくいったもの、新しい品種や市場に出たら面白そうな野菜を選び、生産者さんに試しに育ててみるのはどうか相談してみることにしました。
何度も生産者さんの元へ足を運び、一緒に作業しながら自分たちの考えを伝え続けた2人。
同じ土の上に立とうとする2人の姿勢が少しずつ伝わっていったのでしょう。現在、黄色のカラー人参やフルーツかぶといった珍しい品種を作り始めた生産者さんがいます。ここまで来るのに4年。
これからも丁寧に関係を作りながら、新しい加工品を作ったり、生産者さんと共に行動していきたいと2人は話します。
「都会には、地方の野菜を買い付けて販売する“バイヤー”と呼ばれる人が山ほどいます。でも買い付けだけの時に来ても本当の意味での生産者さんとの関係性ができません。自分たちがこの地で生活しているからこその関係性を作り、その上でできることをやりたいと考えています。同じ目線でものごとを見て、一緒に土に触れることから生まれる“sanchikara(産地から)”の作物を届けたいと思っています」
sanchikaraを立ち上げた1年目は、野菜の売り先はあっても売る野菜が集まらない状態が続いたそうです。でも2人は諦めませんでした。きちんと人間関係を築きながら生産者さんから分けてもらったものをしっかり売る。売れたことで生産者さんはもっと売ろうという姿勢になっていく。そしてまたもう少し分けてもらって売る…。
そういったやりとりを積み重ねながら、少しずつ生産者さんからの信頼を得ていきました。
毎朝、集荷場には多くの生産者さんが採りたての旬の野菜を運んできます。ここから高知市内や県外へ、土佐町・れいほくの野菜として運ばれていくのです。
「昔はインターネットも情報もなかったし、人の行き来や物流が不便だったので、中間業者が介在することで情報が伝わってた。いわば都会の人がブランディングし、都会の人が付加価値をつけていた。今はそういう時代じゃない。産地で暮らし、この地のものは美味しいと一番よく知っている自分たちが、そのものに付加価値をつけて外へ出していけるようにしていきたい」
毎年、多くの人々がsanchikaraを訪れます。sanchikaraが野菜を販売しているお店の料理人やオーナーさんたちです。自分たちが料理に使っている野菜がどのように育てられているのかを知りたいと土佐町やれいほくを訪れるそうです。
「生産者さんが一番喜ぶのは、消費者の人たちが来てくれること。双方が実際に出会うことによって、売れるということとはまた違った喜びが生産者さんに生まれるんです」
“名刺はどうやって作ったらいいだろう?” “宣伝のPOPをどうしようか?” と自ら考え、新しい利益を作っていこうとする生産者さんの姿勢に小さな変化を感じる時に、2人はとてもやりがいを感じるそうです。
お互いの顔が見える関係の中で生まれる生産と販売のかたちを作っていくために、「僕らができるところを精一杯やらなあかんな、と思う」と話していました。
蔦屋書店では、土佐町・れいほく地域の生産者さんが育てた旬の野菜が並びます。
米ナス、万次郎かぼちゃ、土佐甘長とうがらし、パプリカ、原木しいたけ、カラーピーマン、地みつ(はちみつ)…。(天候などにより変更する場合があります)
この地で生まれる野菜たちの美味しさを、ぜひ多くの方に知っていただけたらと思います!