新緑と青空のコントラストが気持ちいい時期となった。
ここ最近は、田んぼで代かきをしてる。
農家さんにもよるが、一般的には二三回代かきをして田面を整え、田植えの準備をする。水を入れて耕すことで、水持ちを良くし、空気を含ませて、稲の成長を促すの意味がある。
今年は、代かきのあとに三寸ほどの角材をロープで耕運機に結び、引っ張ることにした。田んぼをあちこちへと移動しながら、なるべく平らに均す。
高低差が少ないと、適量の水を田んぼ全体に行き渡らせることができる。山から引いた冷たい水が太陽熱で温まる。均一の深さなら水温も一律、苗全体もまんべんなく育ってくれるはずだ。一方、田んぼが凸凹していると、水を入れたときに、こっちの苗は水没しちゃったけど、あっちは土が露出してるという状態になる。深く水没した苗は腐ってしまうし、水が無いところは雑草が生えてしまう。余計に水を入れることで、水温が下がり、雨が少ない年は管理が難しくなる。田んぼが平らということは、大事なことなのだ。
耕運機や角材に押されて水面に波が立つ。紋は放射線状に広がり、田んぼの端まで届く。その様子で、土がうまく均されたかある程度分かる。
一定の深さで起こる波は、同じ大きさとスピードで広がっていく。その動きを見て、僕はいつも海の波を思い出す。
小笠原に住んでいたとき「波は水が動いているのではなく、エネルギーの塊が海中を移動しているのだ」と教わった。風や潮の力によって発生したうねりは、大きくなったり分かれたりして、長い長い間旅を続け、どこかの海岸に到達する。海底が浅くなるにつれて、うねりは波となり、砕けて消える。
波を目で追いながら、今このときも生まれては消えている大海原のうねりや波のことを想像するのはなかなか贅沢な時間だ。