「しきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん」 高野文子作,絵 福音館書店
青空の広がる日、外に干した布団の気持ちよさといったらありません。その布団に飛び込んで、ぐっすり眠る。これは、かなりの幸せ。
人が布団で過ごす時間は意外と長く、1日の3分の1〜4分の1を四角いスペースの上で過ごしています。
たかが布団、されど布団。この本を読めば、ついワンセットに扱われがちな「しきぶとんさん」「かけぶとんさん」「まくらさん」は、それぞれ重要な役割を担っていることに気付きます。
寝る人がしきぶとんさんに頼みます。
「あさまでひとつおたのみします。どうぞ わたしのおしっこが よなかにでたがりませんように」
しきぶとんさんは答えます。
「おれにまかせろ もしもおまえのおしっこが よなかにさわぎそうになったらば まてよまてよ あさまでまてよと おれがなだめておいてやる」
しきぶとんさんが、朝まで見守ってくれていたとは!
そんな視点で布団を見たことがありませんでした。
かけぶとんさんは「ひるまころんで ちのでたひざも なめてさすってあっためて」直してくれ、まくらさんは、おっかない夢を鼻息で吹き飛ばしてくれる。
だから、人は安心して眠れるのです。
最後は「しきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん いつも いろいろ ありがとう」でこのお話は終わります。
本当に、ありがとう。
今日も気持ちよく眠れるよう、寝床を整えたいと思います。