「島ひきおに」 山下 明生 (文) 梶山俊夫(絵)
先生がこの絵本を見せてくれた時、絵の美しさにはっとされられました。
「この本はね、読みながら涙が出る…。鬼は人間に友達になってほしいんやけどね…。」
と涙ぐみながら話してくれた先生。
『海の真ん中の島に鬼が住んでいて、ひとりぼっちで寂しがっていました。人間たちと一緒に暮らすにはどうしたらよいかを尋ねる鬼に困惑した漁師たちは、自分たちの島は狭いので、鬼が島をひっぱってきたら一緒に暮らせるのだが、と、口からでまかせを言いいます。これを真に受けた鬼は、島を引っ張って海を歩き、人間たちの島へと行くのですが…。』
この本について調べてみたら、作者の山下明生さんのふるさと、広島県の能美島の近くにある敷島という無人島にまつわる言い伝えを元にこのお話は作られていて、鬼の引っぱってきた島だから引島、それが敷島になったのだそうです。
こんな背景があることを知ると、現実と物語がぐっと近づくような気持ちがします。