「日本の色辞典」 吉岡幸雄 紫紅社
【目下の悩み】
「江戸時代、元禄の頃、大都市における町民の繁栄ぶりは目を見張るものがあった。
富を築き、贅沢な暮らしを目指すようになったため、幕府は庶民の華美、贅沢を禁ずる奢侈(しゃし)禁止令により、華やかな衣装を着てはならないというお触れを出した。町民は止むを得ず、茶やねず系統の地味な色相を着るようにしたが、知恵と矜持によりさまざまな変化をつけた。その数は「四十八茶 百鼠」といわれるように、茶色には48、墨(ねず)にいたっては100種もの色相があったようで、染法を記する文献によると、茶系は80種あったといわれる」(以上文中より)
この本から唐茶(からちゃ)、樺茶(かばちゃ)、雀茶(すずめちゃ)、檜皮色(ひわだいろ)、煤竹色(すすたけいろ)、蝉の羽色(せみのはねいろ)など知った。それぞれは微妙に色相が違い、どれもが良い。(この色は?と問われても答えられないだろう)
これら茶系のどれかの色で、自動車のボディに表現したいと思う。が、どの色にしようか…。
このような呼び名があったよ、と気付くと顔も自然にほころぶ。
藤田英輔