旦那の僕が言うのもなんですが、うちの奥さん子嶺麻(シネマ)の作る料理は、とても美味しい。
高知引越し前に住んでいたブラウンズフィールドでは、スタッフの食事を作っていたし、敷地内にあるカフェでも不定期だがランチを作っていた。なので、「飲食業やらないの?」とよく聞かれるみたいだ。でも彼女はいつも首を横に振る。例えばカフェを営業するなら、いつ、どのくらいお客さんが来るか正確には分からない状況で仕込みをしなければいけない。途中で売り切れになってしまったら、来てもらったお客さんに申し訳ないから、多めに作る。結果、売れ残りが出る。スタッフや友人がいる場合は、まかない料理として出され無駄にはならないが、彼らが不在のときは廃棄となってしまうこともある。彼女にはこれが許せないのだ。
日本の食料自給率は、カロリーベースで四割以下と言われる。つまり、六割は海外からの輸入に頼っている。一方で、破棄される食料は年間二万トン。子嶺麻には、この状況をどうにかしたい思いがずっとあった。食材はなるべく使い切り、生ごみを減らし、無駄な買い物はしない。それでも、世界では毎日大量の食べ物が捨てられている。現状は変えられないかもしれないけれど、少しでも廃棄食材を減らせれば、と彼女がはじめたのが、「もったいないカフェ」と「あるもんでキッチン」だった。
「カフェ」は、子嶺麻が料理したものをお客さんに食べていただく。「キッチン」の方は、参加者と一緒に調理して、いただきましょうというイベント。
食材を買うのは「もったいない」ので、「あるもんで」で工夫する。
各家庭で、賞味期限間近な食品や買い物したりいただいたりしたけれど食べ方や調理法がわからずそのままになっている食材、旬で採れすぎた野菜などを持ち寄ってもらう。子嶺麻自身はお肉を食べないので、動物性食材はお断りしている。また、シンプルに料理したいので、添加物の入った加工品もご遠慮いただいている。
後編に続く。