「きまぐれロボット」 星新一 理論社
この本には、発明されたわくわくするようなロボットたちや、いくつもの便利な道具が出てくる。そして一つ一つの話のおしまいにはシュールな「オチ」がある。
「なるほど」であったり「ああそうか」であったり、苦笑いであったり…。
例えば、エヌ博士の作り上げた「なぞのロボット」。いつもどんな時も博士のそばにくっついているだけ。
お茶も運ばなければ、掃除もしない。口もきけないし、犬に吠えつかれても博士を守るどころか、逃げる博士について一緒に逃げるだけ。何の役にも立っていないように見える。
さて一日の終わり、夜になって眠る時間になると、博士に「さあ、頼むよ」と命令されるとちょっとの間仕事をする。机に向かってノートを広げる。
ここでロボットは何をするか…。日記をつけるのがめんどうくさくてならない博士の代わりに日記をつける。
これまでの成り行きが、ストンと納得がゆく。
星新一さんの柔らかい頭脳にまいってしまう。
藤田純子