「西の魔女が死んだ」 梨木香歩 新潮社
西の魔女が死んだ、というなんともインパクトのある言葉。この言葉に導かれて、西の魔女こと祖母とまいが一緒に暮らした二年前の回想が始まります。
「扱いにくい子」で「生きにくいタイプの子」のまいは、中学校に通うことの出来なくなり、しばらく祖母の家で過ごすことになります。 祖母に手ほどきをうけながら、まいは魔女修行を行います。修業の極意は「何でも自分で決める」というもの。簡単そうで実は難しい魔女修行を通じて、まいは少しずつ失っていた自信を取り戻していきます。
この修行の中で重要な役割を担っているのが、日々の生活の基本を整える食事の準備や洗濯といった家事全般。庭でレタスとキンレンカを摘んで作るサンドイッチ、大きなバケツ3つ分のワイルドストロベリーでつくるジャム、洗いたてのシーツをラベンダーの上にひろげて花のかおりをうつす…。
こんな魔女修行なら私も弟子入りして修業を積みたいと何度思ったことでしょう!
文庫版にはハードカバー版にはない、その後のまいの物語「渡りの一日」が収録されています。
古川佳代子