原田正という男
今回は土佐町で、新たに農業を始めた若手農家さん・原田さんを紹介したいと思います。
原田正さん、出身は神奈川県の横浜。私の移住とほぼ同じタイミングで6年前に移住をしてきました。
20代、30代は、農業とは関係のない職業についていましたが東北の大震災を契機に農業や食について興味をもちだし、40歳も近づいたころから、農業を実際にする事を考えだして全国各地を回りながら農業をする場所を探していました。
全国の産地を巡る中で縁あって高知県の土佐町にも訪れ、この場所で農業を始めたいと思い、移住する事になります。
3年間は地元の農業法人で栽培や農業経営の勉強をして、2017年より晴れて独立しました。
農業法人では同僚であり、独立後もsanchikaraで原田さんの作った農産物を取り扱う等、6年間近くで原田さんを見てきましたが、原田さんの農業に対する情熱は半端なものではなく、農業で本気で食っていこうという覚悟がにじみ出ています。
生活の一部といっていいほど農業が暮らしの中心で、作物に対しても常々研究をしており、農業の可能性を常に追求し続けています。
この6年、地元横浜に帰郷するどころか土佐町をほとんど出ていません(笑)
その真剣な農業に対する想いには常に私自身も刺激をうけています。
こんな本気で農作物を作っているんだったら、しっかりとした価値で売りたい、もっと多くの人に知ってもらいたい。一方原田さんももっと良い売り方はないかと、会えば常に農業について話をしています。
時には私も原田さんも、農業に対して頑固な部分も多く、意見が食い違うこともあり、喧嘩のように言い合う事もありますが、それはお互い本気で農業に関わっているからこそ。本気で作って、本気で売る。そこにお互いが足りてないと思えば率直に言い合える関係は、終わって解決してみればいい刺激となって次のモチベーションに繋がっています。
違いを生み出す生産者の想い
普段野菜を販売する上で、やはり生産者さんの想いは野菜に色濃く反映されると思っています。
しっかりとした想いをもって、農業に対して勉強をして、食べてもらう消費者の事を考えている農家さんは、間違いなく野菜に違いを与えてくれています。
農業歴こそ多くの地元の農家さんに比べて浅い原田さんではありますが、原田さんの想いは作る野菜にその違いがはっきりと出ています。
原田さんの現在の農業スタイルは、夏に土佐甘長とうがらしという大ぶりのししとうを栽培をしており、冬から春先にかけてスナップエンドウを栽培しています。
土佐町でもスナップエンドウの栽培はずっと行われてきましたが、原田さんのスナップエンドウはまた一味違います。
写真で見て頂いてもわかるように、さやが大きく豆を限界まで太らせます。
さやが大きいことにより、食べた時のシャキッとした食感とみずみずしさ、豆を大きくすることにより豆の甘味を限界まで引き出しています。出荷や梱包に関しても、一つ一つ丁寧に行い、納得がいかない場合は出荷もしないほど。そんな最高のスナップエンドウに、熱い原田さんの想いがのるのです。
私たちが全国のお客さんに販売するとき、取引が始まる前に現地に視察に来られることが多いです。
原田さんの圃場にも年間何十件と視察がやってきます。
視察現場でこだわった野菜と出会い、原田さんと出会いコミュニケーションをとる事で、多くのお客さんはとても気に入ってくださります。
そうやってどんどん扱ってくれる県外のお客さんは毎年毎年増えており、現在では原田さんのスナップはミシェランに載るような一流のレストランや都市圏の百貨店でも取り扱われています。
また地元にもファンがどんどん増えてきており、圃場までわざわざ買いに来る人もいるとのこと。
原田さんは今後もよりいいものを栽培していくでしょうし、より多くの人に食べてもらうように生産量も増やしていくと思います。
私も負けじと、そんな若手の熱い農家が土佐町で生まれてきているんだよという事を一人でも多くの人に知ってもらい、県内県外問わず皆様にも原田さんの野菜を食べてもらえる機会をどんどん提供していきたいと思っています。