「シュナの旅」 宮崎駿 徳間書店
「シュナの旅」は、宮崎駿さんがチベットの民話「犬になった王子」を元に描いた短編漫画。「風の谷のナウシカ」と同時期、1983年に出版されています。どうしてもナウシカと重ねて読んでしまうのですが、宮崎さんの根底に流れるものは、いつも揺るぎないのだとあらためて感じます。
黄金色の穀物の種を探して西の果てへと旅に出たシュナが、人の愚かさや醜さ、生きる厳しさと出会いながら何度も立ち上がり、自分の信じるものへと向かって歩いていく。
市場で売られていた少女・テアに出会い、最後、生きる希望を見出すシュナの姿は静かに胸に響いてきます。
「行くか 行かぬか それは そなたが決めることだ」
旅の途中に出会った老人が話す一言が心に残ります。
宮崎駿さんにとってこの漫画をアニメーション化するのがひとつの夢だったそうですが、今からでもぜひその夢を実現させてほしいです。