春は芽吹きの季節。
山の師匠である近藤雅伸さんに、山菜「コシアブラ」をいただきました。
透き通るような若緑色、ウドに似た、つんとした爽やかな香りがします。
近藤さんは「天ぷらやおひたしにしても美味しい」と教えてくれました。
調べてみると、コシアブラは「山菜の女王」と呼ばれているそう。昔、「コシアブラの木の樹脂(あぶら)を絞り、濾したものを漆(うるし)のように塗料として使われていたことから。“コシアブラ”と呼ばれるようになった」とのこと。
「山菜の女王」コシアブラは、一体どんな場所に育つのか?
4月11日、近藤さんの山へ連れて行ってもらいました。
山道から少し上がったところ、道なき道を進んでいく近藤さん。腰に下げたナタで枝葉を切り落としながら、歩きやすいように道を作ってくれます。
「すぐ後ろを通らんでね。枝が弾く場合があるき」。
コシアブラは、白い木肌をしているのが特徴。高さは20~ 30メートル、幹の太さは太いものでも10センチほど。コシアブラの木はあまり太くならないのだそうです。写真左の細い幹もコシアブラ。幹の途中から伸びる芽が、これから枝になっていくのだそう。
コシアブラの枝はとてもしなやか。釣り竿のように曲がります。手が届かない高い枝のコシアブラの新芽は、枝をぐっと曲げて採ります。
新芽の元を持って直角に折ると、あまり力を入れなくても、ぽきん、と採れます。
近藤さんはあっという間に木に登り、高い枝先のコシアブラを採ってくれました。
「自分の庭みたいなもんやきね」。日々山を歩き、山を見ては「あの場所にもコシアブラの木がある」、「あと4〜5日したら収穫どきだ」など、感じることがたくさんあるといいます。
あっという間にこんなに採れました!
艶々と、とても美しい春の緑です。
近藤さんと一緒に山を歩くうち、あちらにもこちらにも、白い木肌のコシアブラが生えていることに気付きました。今まで見えなかったものが見えるようになる不思議な感覚。少しだけ山と仲良くなれたような気持ちになります。
コシアブラの天ぷらを作る
収穫したてのコシアブラは、天ぷらに!
まず、はかまを外します。新芽の元は硬いので、包丁で少し削り取ります。
そして、米粉を水でといた衣をつけて、揚げます。
「長いこと揚げれんで!さっ、と!さっ、と!」
近藤さんがそう言っていたな…と思い出しながら、さっと揚げました。
コシアブラの天ぷらは、少しもっちりとしていて甘い!「美味しい、美味しい!」といくつも食べました。(食べすぎるとお腹を壊すようです)
生のコシアブラをかじると、しばらくえぐみが口の中に残ったのですが、天ぷらにすると甘くなる!不思議です。
山が一斉に芽吹く春。コシアブラをはじめ、イタドリ、ワラビ、ゼンマイ、たらの芽など、山の人たちは収穫や保存に大忙しの季節です。
「わしの体の半分は、山のもんでできてるからなあ」
と近藤さん。山で暮らす人たちは自然の恵みをいただいて、ずっと生きてきたのです。