2021年1月から2月にかけて高知県内9市町村の郷土料理を撮影し、製作した動画をご紹介しています。
第四回目は、津野町で作られている郷土料理「田舎ずし(土佐田舎寿司)」です!
土佐田舎寿司ってなに?
高知県ならではのお寿司「土佐田舎寿司」。“寿司”と聞いたら魚介類を使ったものを思い浮かべる方も多いと思いますが、この「土佐田舎寿司」は、高知の山の幸を使ったお寿司です。
昔、昆布や海苔など海のものが手に入りにくかったころ、高知の山の人たちは、自分たちの土地にあるものを使ってお寿司を作りました。寿司飯には、高知県名産の柚子の果汁(高知県では柚子酢といいます)を効かせます。
寿司はごちそう!
昔から高知県では、人が集まる時には必ず寿司が作られてきました。まさに、寿司はごちそうだったのです。
津野町で「田舎ずし(土佐田舎寿司)」を作ってくれたのは、代表の笹岡三栄さんをはじめとする久保川生活改善グループのお母さんたち。1986年、お母さんたちは「全国ふるさとおにぎり百選」に応募する際に、津野町の山のもので作ったお寿司を出品。タケノコ、しいたけ、リュウキュウ、こんにゃく、みょうが…。自分たちが暮らす山で採れるもので作ったお寿司です。
さて、このお寿司の名前を何にしようか?
「山のもん、田舎のもんでできたお寿司やき、“田舎ずし”はどうやろう?」
こうして誕生した「田舎ずし」は見事、入選!
「次の年には、高知県中の人たちが、“田舎ずし”を販売するようになったんよ」と笹岡さん。
こうして、高知の山のものでできた寿司は「土佐田舎寿司」と呼ばれるようになりました。
動画タイトル文字は、土佐町のどんぐりのメンバーさん作
動画のタイトル文字を描いてくれたのは、土佐町の障がい者支援施設「どんぐり」のメンバーさんたち。
手描きの文字は、お母さんたちの作る郷土料理と重なって、とてもよい温かみを添えてくれています。今まで、一緒にシルクスクリーンやカレンダーを作ってきたどんぐりのメンバーさんと、こういった形で仕事ができたことをとても嬉しく思っています。
土佐田舎寿司は、一日にしてならず
土佐田舎寿司を作るためには、膨大な準備が必要です。
まずは材料の確保から。
寿司を作ることを見込んで、材料の収穫時期を逃さず、一年中食べられるように保存しておく。材料がないことには寿司は作れません。
春は竹やぶでタケノコを収穫。夏には山でみょうがを採り、畑のリュウキュウの茎の皮を剥ぐ。秋には柚子を絞って保存しておかなくてはなりません。他にも、原木しいたけを干す。こんにゃく芋を掘り出し、こんにゃくを作る。高知のお母さんたちは本当に働きものです。
塩漬けや冷凍して保存した材料も、そのままでは使えません。
材料を使うための準備も必要なのです!
塩漬けしてあるタケノコやリュウキュウの塩抜きをする。干し椎茸は水で戻しておく。赤しそを使って紅色に染めたみょうがは冷凍して保存してあるので、解凍しておく。季節の花木を用意する…。ああ、その準備の数たるや!ここには書き切れないほどです。
土佐田舎寿司は、1日にしてならず。まさに、お母さんたちの知恵の結晶です。
芸術作品、土佐田舎寿司!
各種のお寿司ができると、彩りを考えながら木のもろぶたに盛りつけていきます。撮影したのは一月だったので、椿の花も添えていました。美しい!まさに芸術作品。
そして、お味ももちろん、とびきり美味しい!撮影後、ご馳走になりましたが、冗談抜きで涙がでるほど美味しかった!お母さんたちの積み重ねてきた時間と経験の尊さを思い知りました。
動画では、ぜひ、お母さんたちの華麗な手さばきとともに、高知の山の多彩な材料にも注目してみてください!