お守りにシカ角ガチャ
「わ!何かおもろいもんあったで〜」
土佐郡土佐町田井のうどん屋さんの店先。カプセル玩具販売機(ガチャガチャ)に子どもが群がっていた。100円玉を5枚入れ、レバーをくるくる。ポンっと出てきたカプセルを開けると…ひもが通されたシカの角。わ!ワイルド〜。
同封されていた土佐和紙の説明書によると、水難よけや豊穣祈願、金運、武運と、一つ一つご利益の違う「お守り」らしい。
手掛けたのは、土佐町の魅力を発信するウェブサイト「とさちょうものがたり」の編集長、石川拓也さん(46)。地域おこし協力隊員として同町に移住。「町の自然を生かしたグッズをガチャにしたら面白そう」と、2919年の任期終了時に販売機を購入していたという。
町の仏像を3Dプリンターでフィギュア化してみたり、河原で拾った石にペイントしてみたり …。カプセルの中身をあれこれ考えたが、しっくりこないまま2年。今年3月「突然ひらめいた」のがシカの角だ。
シカは国内外で神獣とされ、角はお守りとして重宝されているとか。石川さんは「町をPRして開運もできたら最高じゃん」と、住民から以前もらっていた角を裁断、加工した。
販売機は4月にうどん店に置いたほか、5月には高知市の「高知蔦屋書店」にも設置。有害鳥獣の新たな活用策に、他自治体から早速問い合わせがあったそうだ。
「東京とか都会でもうけるかも」と石川さん。住民の声も聞きながら、お守りの改良や新たなグッズ開発にも取り組むという。お守りの製作は、土佐町や長岡郡大豊町の障害者就労支援事業所の利用者にも担ってもらっており、売り上げの一部を還元する。
石川さんは、「みんなで面白がって、少しずつみんながもうける形になれば。ゴールは決めずゆっくり進めていきますよ」。カプセルには、町の温かい人情や夢も詰まっている。
(嶺北支局・竹内将史)
また改めて別の記事でもご紹介するつもりでいますが、この記事が出たあとで何人かの方々から編集部にご連絡をいただきました。
「記事を見たけんど、鹿の角が必要やったら、知り合いの猟師さんに聞いてもらってくるぞ」
といったお電話でした。
作業を担当する大豊町ファーストも、大豊町の方々から鹿の角を大量にいただきました。その角は現在とさちょうものがたりの編集部で預かっていて、御守りになるための加工待ちの状態です。
とてもありがたくもあり、背中を押されるような気持ちにもなります。
なかなか皆様に丁寧なお礼を返すことができていない状態ですが、鹿の角のひとつひとつは大切に使わせていただきます。この場を借りて感謝をお伝えしたいと思います。ありがとうございました。