「とうちゃんのちゃんぽんめん」 伊藤秀男 福音館書店
毎月一冊、保育園を通して購入し、持ち帰ってくる『こどものとも』がひそかな楽しみだ。
こちらの作品は、年少クラスの娘が昨年の夏に持ち帰ったもの。けれど、半年経ち、寒い冬の今、読んでほしいと娘がよくせがむ。 その理由はわからないけれど、夏に読んだときよりも確実に、ちゃんぽんめんが美味しい季節であることは間違いない。
とうちゃんのつくるちゃんぽんめんには、12種類の具沢山の野菜に、いか、えび、あさりまではいって、しいたけ&昆布のだしをベースに、麺は乾麺からのこだわりよう。
とうちゃんはザクザクと具を刻み、文章にはなくとも胡麻油もしっかり鎮座している台所。 醤油差しの白い陶磁器、手入れされた中華鍋、出番の多さが物語る先の焦げた木べら…、美味しいごはんが生み出される台所であることがわかる。
そしてここの表現がたまらない。
−しおを ぱっぱっ、しょうゆをたらり、おみそを ぽちゃんといれ ぱっぱっ、たらり、ぽちゃん…
その音だけでどれくらいの分量なのか想像がつき、味まで思い浮かぶ。