とさちょうものがたり

みんなのアルバム

雪の日の街なか

  • 日時1970年代(昭和40年代後半~昭和50年代前半頃)

  • 場所土佐町田井地区

  • 撮影者西森五明

  • 投稿者

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これは、土佐町田井地区にある西森理髪店の西森五明さんが見せてくれた写真です。

ときは昭和40年代後半から昭和50年代初めの頃。

土佐町のメインストリート、国道439号線の歩道が隠れるくらい雪が積もっていますね。信号機の形も今と違いますし、今はもうないお店の看板も見えます。

南国高知とはいうものの、土佐町は四国の真ん中に位置し、周囲は山に囲まれています。毎年冬には雪が降り、よく「南国詐欺」と言われます笑。けれども、雪が降っても街中の雪はすぐに溶け、山の日陰にはしばらく残る…というほどです。

町の人から「昔はよう降ったけどなあ」という声をよく聞きます。

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二羽の鶏を描いた「共に」

ドキュメンタリー映画「天から見れば」

正文さんは10歳の時、実家が営む製材所の機械に巻き込まれて両腕を失い、生死を彷徨いました。一命を取り止めましたが、今まで当たり前のように出来たことが自分でできなくなり、周囲からからかわれ、指をさされ、もう生きていてもしょうがないと自ら喉を突こうとしたこともあったそうです。

家に引きこもっていた中学校2年生の時、京都山科にある仏光院の尼僧である大石順教尼の元を訪れた正文さん。大石順教尼は義父に両腕を切り落とされるという壮絶な経験を乗り越え、その生涯を障がい者支援に捧げました。順教尼は口で筆を加え、絵を描く人でもありました。

「自分は何もできない」と想いを順教尼に話すと、返ってきた言葉は「弟子になりなさい」。でも、弟子になるためには条件がありました。

 

弟子になる条件

一つ目の条件は、正文さんの自宅のある大阪・堺から一人で仏光院へ通うこと。当時は順教尼のいる京都の仏光院まで片道約3時間、電車やバスを5回も乗り換える必要があったそうです。その度誰かに切符を買ってもらわなければならない。思い切って声をかけると両腕のない正文さんを見て逃げる人、罵声を浴びせる人、からかう人もいたといいます。でも、その人たちを「自分の先生だと思いなさい」と話した順教尼。社会には色々な人がいて、親切な人もいればそうでない人もいる。でも皆が社会を教えてくれる先生なんだ、と。この教えは、後述する正文さんが生涯大切にした言葉「禍福一如」につながっていきます。

もう一つの条件は「絵を描きなさい」。この時から正文さんは口に筆をくわえ、絵を描き始めます。口で筆を咥えていると苦しく、口も歯も痛くて、ポタポタと唾液がこぼれていく。一枚の絵がやっと完成した時、自分にもできることがあるんだと思えたといいます。

「何もできない」から「何でもやってみよう」、正文さんの思考が変わった瞬間でした。考え方が変わると生き方が変わる。絵を描くことを糸口に、正文さんは何でも挑戦するようになっていきます。

 

出来ないとしないはちがう

映画では、正文さんの日常も描かれています。正文さんは絵の具のチューブの蓋を足で開け、パレットに絞り出します。キャンバスを顎の下で挟み、勢いをつけて机の上にのせていました。自作の道具を使ってシャツのボタンをはめ、ベルトをし、自転車に乗っていました。

正文さんの奥さまの弥生さんによると、正文さんは字を書くのもとても上手で、お礼状を書くのはいつも正文さんの役割だったそうです。巻物のような紙に書いてくるくるっと丸め、最後に小さなかわいい絵を描いていたといいます。雑巾も上手に絞っていたとか。

出来ないとしないはちがう」。正文さんはよくそう言っていたそうです。「やってみたけど、できない」のと「最初から無理だと諦めて、しない」のはまるで意味が違う。「正文さんに言われたら説得力がまるで違う。本当にその通りだ、って思っていました」と弥生さんは話してくれました。

 

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2022年11月5日〜13日、土佐町郷土学習センターで「南正文展覧会」が開催されました。南正文さんは少年時代に事故で両手を失い、絶望の淵に迷いながら、口で絵筆を咥え、描くことを見つけた日本画家です。2012年に亡くなるまで、約900点の作品を残しました。

なぜ、南正文さんの展覧会を土佐町で開催することになったのか?

それは以前、町内で「Monk」というラーメン屋を営んでいた正文さんの息子、一人さんの「お父さんの絵をたくさんの人に見てもらいたい」という思いがあったからでした。

編集部は一人さんから正文さんの画集「よろこびの種を」を手渡され、絵を描くに至った経緯やお人柄を知り、ぜひ土佐町で展覧会をと企画しました。本来ならば2020年4月に開催予定だったのですがコロナ禍で延期を繰り返し、今回やっと、2年半越しの開催となりました。

 

心の深いところへ

展覧会スタート前日、高知放送「こうちeye」で展覧会会場の様子が生中継されたこともあり、町内はもちろん、遠方からも多くのお客さまが来てくれました。

左は取材してくださった土佐かつおさん。和田守也町長がご挨拶

 

体育館に展示された絵は、桜の花びらを何回も重ねて描いたという『活きる』や、二羽の鶏を描いた『共に』など30点。座ったり、絵の近くに寄ったり、お客さまは思い思いにじっくり絵と向き合っていました。

会期中、毎日2回、正文さんの生き方を描いたドキュメンタリー映画「天から見れば」を上映しました。

「この映画を見る前と後では、絵の見え方が変わりますね」と話すお客さまが何人もいました。特にご年配の方は、正文さんの人生を自分と重ね合わせているようでした。目を赤くしながら映画会場から出てくる方もたくさんいました。

会期後半は、友人の紹介で来たという人が増えていきました。「展覧会に行ってすごくよかったと聞いたので。本当に来てよかったです」と感想を伝えてくれた人も。

中には、自分のご主人が事故で寝たきりになってしまい途方に暮れ「どうやって立ち直ったのか、弥生さんに聞いてみたい」という方も。(弥生さんの許可を得て、弥生さんの連絡先をお伝えしました)

そういったお客さまの姿は、正文さんの人柄や生き方が、その人の内へ深く静かに染み渡っていっていることを伝えてくれました。その人の歩んできた人生にそっと寄り添うような、じんわりと優しく包んでくれるような力が正文さんの絵や姿にはあるのだと思います。

 

 

(「喜びの種を 南正文展覧会 その2」に続く)

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あけましておめでとうございます。

みなさま、今年もよろしくお願いいたします。

とさちょうものがたりは今年も、土佐町を視点の軸にしながら、人として大切なこと、自然や暮らしの美しさを形にしてお伝えしていく所存です。

日本では、世界では、日々さまざまな良いこと悪しきことが絶えず起こりますが、そんな時にこそ立ち返れる日常の小さな視点をご紹介していきたいと思っています。

今までと同様、みなさまのチカラを借りることも多々あると‥‥というか借りてばかりな気もしますが、多々あると思います。

2023年もよろしくお願いいたします。

 

 

 

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土佐町のみなさま・高知県のみなさま・遠方にお住まいのみなさま

 

本年も大変お世話になり、ありがとうございました。

出会ったみなさまに支えられて、「とさちょうものがたり」は今年も無事仕事納めとなります。

みなさまにおかれましては、来年もすばらしい年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。

編集部は12月29日ー1月4日までお休みになります。

記事の再開は2023年1月5日となります。

みなさま良いお年をお迎えください。

 

とさちょうものがたり編集部

 

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カラフルな原画を見てほしい

現在絶賛販売中の「USAGIカレンダー2023」。

高知県内7ヶ所の障がい者支援施設の利用者さんが描いた数字で作ったカレンダー、そのカラフルな原稿を皆さんに見てもらいたいと、原画展を開催しました。

去る12月17日、場所は高知市・帯屋町の書店、金高堂書店本店さんの店頭をお借りしました。

 

 

 

編集部にたくさんストックしてあったパレット(木製の運搬用荷役台)を持ち込んで、7施設分のボードを作りました。写真に写っている人物は土佐町小中学校にALTとして赴任中のエヴァンさん。展示を大々的に手伝ってくれました。

 

展示が完成した瞬間

 

午後には、参加施設のひとつである「サポートぴあ(高知市)」さんが皆さん連れ立って見に来てくれました。

ご自身たちが描いたカラフルな数字や文字が、このようにパブリックな場所で不特定多数の人の目に触れる。そんな経験に喜んでいただけたと思います。

 

 

通りを歩くたくさんの方々が「USAGIカレンダー2023」に興味を示していただきご購入もしていただきました。

このような場所を提供していただいた金高堂書店本店さん、そしてカレンダー製作に参加していただいた7施設のみなさん、興味を持っていただいた方々、購入していただいた方々、皆さんにこの場をお借りして感謝をお伝えいたします。ありがとうございました!

 

「USAGIカレンダー2023」はただいま絶賛販売中です。年越し準備の最後のひとつに一冊いかがでしょう?

 

販売開始!!「USAGI カレンダー 2023」

「USAGI カレンダー2023」、高知新聞に掲載されました!

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ただいま絶賛販売中の「USAGI カレンダー2023」。今回の記事は、カレンダーが完成し、数字や文字を描いてくれた障がい者支援施設の皆さんにお届けした時のお話です。

コロナウィルス感染予防等の関係で直接お渡しできなかった施設もありますが、お届けした施設の皆さんの様子をお伝えします!

 

障害者支援施設白ゆり(香美市)

この写真は、カレンダー制作に関わってくれた「障害者支援施設白ゆり」の皆さんが勢揃いした一枚です。写真左、カレンダーを掲げてくれているのは職員の西尾悠平さん。今回の制作にあたり、大変お世話になりました。

「カレンダーはいつできるの?」「いつ持ってきてくれるの?」という利用者さんからの質問攻めにあっていたそうで、今日の日を西尾さん自身もとても楽しみにしてくれていました。

 

白ゆりの皆さんが、カレンダーを受け取るために待っていてくれ、拍手で迎えてくれました。自分で描いた数字を見つけて「あったあった!」「これ、私が描いた!」と指差して教えてくれました。

心の内側から沸き起こる、跳ねるような感情を、言葉で、表情で、存在で伝えてくれる皆さんの姿。ずっと楽しみに待っていてくれたんだという実感は、こみ上げてくるものがありました。

 

「自分の描いた数字はどこかな?」皆さん、ページをめくって探しています

描いてくれた方には一部ずつプレゼント。「自分の部屋に飾りたい!」と胸に大事に抱えている方、握手を求めてくれた方も。

 

自分で描いた「8」を指差して!

「皆さんもとても喜んでいたので、また来年もやりたいです」という西尾さんの言葉がとてもありがたく、嬉しかったです。

 

高知県立山田特別支援学校(香美市)

 

高知県立山田特別支援学校(香美市)のお子さんたちにも届けました。

 

ちょうど次の日が文化祭ということで、先生から「明日の練習のために、表彰するように渡してほしい」というリクエストが。ぺこり、とおじぎする姿が何ともかわいらしかったです。

折り紙とクレヨンでロボットを作り、そのお腹に「3」と描いたお子さんがいました。「僕のロボット、どこにあるかな?」とページをめくり、「あった!あった!」と大喜び。そんなに喜んでくれるとは、編集部も感激でした。カレンダーの11月3日、ぜひご覧ください!

 

「かっこいい数字と英語を書いてくれて、ありがとう!」

子供にしか描けない、子供だから描けるものがあります。子供の存在は希望です。

届けるための時間をわざわざ作ってくださった学校や先生方に感謝しています。

 

サポートぴあ(高知市)

サポートぴあさんの皆さんにもお届けしました。

「めっちゃうれしいっす!」と受け取ってくれて、こちらも「めっちゃうれしかった!」です!

カレンダーの中に自分で描いた数字や文字を見つけ、描いた時のエピソードを楽しげに話してくれました。

「文字デザインを通して、各々の世界の話を楽しそうにしている様子を見て、癒されました」と後日、所長の武田さんからメッセージをいただきました。

 

 

ファースト(大豊町)

今年で3年目の参加のファーストの皆さん。

表紙の文字「USAGI」は、ファーストの大尾剛さんが描いてくれました。毎年恒例になりつつあるカレンダー作り。楽しみに描いてくださる皆さんに感謝です。お休みの方もいたので、職員さんに渡してもらうようお願いしました。

 

ウィール社(南国市)とりんどう(本山町)は、職員さんを通じてお届けしました。土佐町の方は、土佐町社会福祉協議会を通じ、カレンダーを届けてもらいました。

このカレンダーが人と人をつなげ、場と場をつなげ、少しでも誰かにとって楽しく、ほっとできるようなものになれたらと願っています。

「USAGI カレンダー2023」ができたのは、制作に協力してくれた皆さんがいてくれたからこそ。皆さんの笑顔を見せていただいて「めっちゃ」エネルギーをもらっている編集部です。

さあ、販売を頑張らないといけません!

「USAGI カレンダー2023」、絶賛発売中です!

クリスマスプレゼントに、年末年始の贈り物に、ぜひ!!!

 

販売開始!!「USAGI カレンダー 2023」

「USAGI カレンダー2023」、高知新聞に掲載されました!

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土佐町のバンド「すみれ楽団」の皆さんから、ポロシャツを作りたいというご依頼をいただきました。

すみれ楽団は土佐町のアマチュアバンドで、町内外のさまざまなイベントに出演しています。トランペットやサックス、ギターやドラム…。いつも息の合った演奏を聴かせてくれます。

1984年の新聞記事

 

すみれ楽団は結成48年目

すみれ楽団の方が、今から38年前の新聞記事のコピーを見せてくれました。結成10周年記念コンサートを開催するという内容で、すみれ楽団は「1974(昭和49)年、音楽好きの若者5~6人が結成」「戦後間もないころ、手作りのギターなどで活動していた『すみれ楽団』からバンド名を譲り受けた」とのこと。

現在のメンバーは17名。農家さん、山師、ALTの先生、自動車整備をしている方、小中学校の先生や社会福祉協議会の職員…など、メンバーの年齢も職業も多種多様。音楽が大好きなメンバーたちが、日曜日の夜、集まって練習をしているそうです。

「みんなでお揃いのポロシャツを着て、演奏したい!」

歴史あるすみれ楽団のポロシャツを作らせていただき、とても光栄でした。

 

 

印刷は、障がい者支援施設ファースト

印刷は、大豊町の障がい者支援施設ファーストの方が行いました。シルクスクリーンという手法で、一枚ずつ、手で印刷していきます。

ポロシャツの胸の箇所に印刷

 

サングラスをかけて口笛を吹く「すみれ」、粋です!

バンドメンバーの方がデザインした「すみれ楽団ポロシャツ」。「これからどんどん着ていきたい!」と、とても喜んでくれました。

 

ポロシャツ、デビュー

写真提供:すみれ楽団

先日、土佐町で行われた「憩いの集い」での演奏が、ポロシャツデビュー初日となりました。皆さん、かっこいいです!

これからさらに歴史を重ねていく中で、皆さんが楽しんで着てくれたらとてもうれしいです。

すみれ楽団の皆さん、ありがとうございました。素敵な演奏をこれからも楽しみにしていますね!

 

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カラフルな原画を見てほしい!

 

2022年12月17日(土)、高知市の金高堂書店本店で「USAGI カレンダー2023」の原画展・カレンダー販売会を開催します!

現在販売中の「USAGI カレンダー2023」は、高知県内7つの障がい者支援施設の皆さんが描いた数字や文字でできています。今回、施設の皆さんが描いた数字や文字の原画をパネルで展示、カレンダーを販売します。

障がい者支援施設ファースト(大豊町)、りんどう(本山町)、ウィール社(南国市)、白ゆり(香美市)、高知県立山田特別支援学校(香美市)、サポートぴあ(高知市)、土佐町は個人の方が参加して描いた数字や文字の数々です。

数字や文字の原画はとてもカラフル!そのまま印刷したいところですが、曜日が分かりやすいように、泣く泣く黒と赤の2色にしています。

一人ひとりの人が一枚ずつ描いた数字と文字、素材も色も、大きさもみんな違う!その面白さをぜひ見てもらいたいと思ったのが、今回の原画展開催のきっかけです。

 

場所は帯屋町・金高堂書店本店

 

「USAGI カレンダー2023」を販売してくださっている金高堂書店さんに相談すると、快く書店入口スペースを貸してくださいました。ありがとうございます!

原画には、原画ならではの味わいがあります。一枚ずつ、みんな違う。その面白さ、その温かさ。作ってくれた皆さんのアイディアやユーモアに溢れた原画をぜひ多くの方に見に来ていただけたらうれしいです。

 

 

「USAGI カレンダー2023」の原画展・カレンダー販売会

日時:2022年12月17日(土) 10時~17時

場所:金高堂書店本店 正面入口前ウッドデッキスペース(〒780-0841 高知県高知市帯屋町2丁目2−9)

 

 

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高知市で開かれている「土佐の日曜市」に月に一回ほど出店し、「鹿の角ガチャ」を販売しています。いつも、ガチャの機械の横には、猟師さんにもらった鹿の頭の骨(角付き)を置いています。市を行き交う人が、鹿の頭の骨に一瞬驚き、「鹿の角ガチャだって!」と言っているのが聞こえてきます。

 

その骨に寄ってくるのは子供たち。こんな時には「持ってみる?」と聞いてみます。今だかつて、断った子供はいません。子供たちは恐る恐る手にして、はにかむ。「重い…」。言葉は少なめ、そして丁寧に骨を返してくれる。なんとも可愛らしい。

「山を駆け回っていた鹿の骨だよ」と言うと「本物?」。

「そう、本物だよ」。

へえ〜〜〜…、という表情。ちょっと大きい子は「すげえ!」。

こんなやりとりを今まで何度もしてきました。子供の率直な言葉を聞いて「そうだよね、“すげえ”ことだよね」と再確認します。

山に鹿がいて、猟師さんがいて、捕まえて、時には肉を食べ、骨や角が残る。その角を私たちがいただいて、作っているのが「鹿の角ガチャ」です。この土地で培われたきた循環があってこそ、できることです。

いただいた鹿の角を切り、穴をあける。紐を通し、御守り紙を折り、カプセルに入れる。これが障がいを持った方のお仕事になっています。小さいけれど、確かなお金の循環も生まれています。

大きな町に住んでいると、山の鹿を目にすることも、本物の骨を触る機会もなかなかありません。かくいう私もそうでした。鹿の骨、鹿の角、鹿の肉なんて、目にしたことも触ったことも食べたこともありませんでした。

情報が行き交い、パソコンやスマホの画面上で何でも見たり聞いたりできる時代、その恩恵に私もあずかっています。が、それで全てをわかったような気になっていないでしょうか。はたとそんな自分に気付き、愕然とする時があります。でもそんな時、周りにある「本物」が、私の目を覚ましてくれます。

この土地だからこそ、できること。本物があるからこそ、できること。私たちにとって、その一つが「鹿の角ガチャ」です。

 

 

*鹿の角、募集しています!!

もし不要な鹿の角がありましたら、ぜひご連絡いただけたらありがたいです。

取りに伺います!

集まる鹿の角(ありがとうございます)

 

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