笹に引っ越してきたときから、コンポストを自作して使ってる。コンポスト、とカタカナで言うとなんだかお洒落なイメージだが、要するに堆肥場のことだ(余計わかりにくいかな)。暮らしで出た有機物を一か所に集めて、微生物や昆虫などに分解してもらうことで、自然に還す。その土を利用して野菜を栽培し、収穫し、食べる。自分たちが排泄したものもコンポストに入れて土に戻し、それがまた野菜を育てる栄養の一部になる。
うちでは刈った草や生ゴミ、排泄物などを積んでいる。数ヶ月に一回天地返しすると一年くらいで土に還る。分解しきった堆肥は土そのもので、嫌な臭いもしない。こんな小さな循環を身近で体験することで、自分が口にするものに興味を持ったり、環境負荷についても考えるようになった。
初代コンポストは、割いた竹で囲いをしただけの簡易なもの。これはこれで十分仕事をしたが、屋根が無いため土に含まれる養分が雨で流れてしまい、もったいないと思っていた。数年が経ち、側の竹が脆くなってきたため、新しく作ることにした。
ネットで見つけたこの重箱型コンポストを、うちにある端材で作る。
幅20〜25cmくらいの板をビスで留めて、底のない箱をいくつか組み立てるだけ。中身がいっぱいになったら箱を重ねていく。たまに適量の水や米ぬかを入れて発酵を促す。
使いはじめて三ヶ月ほど経った先日、天地返しをすることにした。
トタンで屋根をしていたので水分が足りず、かたい草や野菜の残渣などは思ったより分解が進んでいなかったが、地面に接していた部分は土になっていた。今後、水分量など調整して使い込んでいけば、良い堆肥が作れそうだ。
生ゴミや自分たちの排泄物を処理できるのは、ゴミの削減に大きく貢献してくれるが、問題もある。未発酵の時は臭いがすることと、ミズアブやハエなどの虫が発生してしまうこと。だが、住まいから離した場所に設置すればさほど気にならないし、生き物たちが渡貫家の循環に一役買って出てくれていると思えば嫌いになるどころか感謝しかない。