「Oじいさんのチェロ」
あかね書房コロナ感染症拡大を防止するために様々な行事が自粛を余儀なくされました。ともだちとの会食や直接の会話、コンサート、お芝居、スポーツ…。いわゆる文化芸術活動は不要不急のものとされてしまいましたが、本当にそうなのかなあ?
極限状態を何とか生き延びなくてはいけないとき、人を支えてくれるのは誰かとの会話であったり、音楽であったり、観劇であったりするのではないかしら?決してこれらは不要なものではないはずです。
「Oじいさんのチェロ」は、音楽の力を印象深く伝えてくれる絵本です。
戦争に巻き込まれた町に住む女の子の楽しみは、救援物資を届けてくれるトラックが到着する水曜日の午後4時でした。ところがトラックにロケット弾が落ち、そのささやかな楽しみさえ奪われてしまいます。
しょんぼりと迎えた水曜日。トラックがいつも来ていた広場に、コンサート衣装に身を包んだOじいさんがチェロを抱えてやってきます。有名な音楽家だったという彼がチェロを弾き始めると、その豊かな音色は女の子や町の人たちに怖がっていることを忘れさせ、生きる勇気を与えてくれるのでした。が、そのチェロさえなくなった時…。
音楽や舞台などをはじめとする文化芸術こそ、困難な状況を乗り越える人たちにとって欠くことのできない、有用緊急なものだと思います。