幸福度やGNHの固い話を少し離れて、ブータンの旅の話をしたいと思います。
今回、ブータンの東西を縦断するような形で旅をしました。国際空港のある町・パロを始点に、首都ティンプーを通り東端のシュラブッチェ大学まで行く旅です。
ブータンの面積は九州と同じくらい。でも‥‥
地図で見ると、ブータンってそんなに大きくない。面積を調べると九州と同じくらい。
でも‥でも‥ブータンって高低差がハンパない。西側から東側へたどり着くまでに、3000m級の峠をいくつも超えることになります。
そのうちのもっとも高いトゥムシンラ峠(Thrumshing La)は標高3,700m。ちょうど富士山と同じ高度を車で越えていくわけです。
こういう峠をいくつも越えてブータン西部から東部へ行ったわけです。
例えれば石原から黒丸への山道を、高低差3倍ぐらいにしたような濃度で越えていきます。根曳峠がかわいく見えてきます。
当然、九州を横断するより時間もかかる。
西から東へ、だいたい2,3日かけて行くのが一般的なようです。
高度の高い峠や山道を通っている時は、川や谷がはるか彼方の下方に見えます。
こうして峠と谷をいくつも越えて西の玄関であるパロから、東の目的地であるシュラブッチェ大学(Sherubtse College)のあるタシガン(Trashigang)まで、途中で宿泊しながらの往復をしました。
短時間での高度差と温度差、空気の薄さと乾燥、体にはなかなかこたえる旅程。
ただこうやって地べたを走ることで、地図で見ても決して感じることのできないブータンの壮大さを身をもって感じることができたと思います。
裏を返せば、それは人間という存在の小ささ、脆さ、たくましさ。
地球という惑星の表面にできた壮大な突起物の、ほんの一端にしがみついて綿々と暮らしを続けてきたという事実を身をもって感じた気がします。
これは日本とブータンとの友好と協力の証。
ブータンの山奥の小さな川に小さな橋を架けることは、地球という単位から見ると本当に取るに足らないことかも知れません。
でもこうして両国の先人たちが小さな行動を積み重ねて、世界が少しずつ良くなってきたことを実感します。
自分とか自国のみが裕福になることを目指すのではなく、足りないところに足りないものを少しずつ補っていく。
そういう行動が積み重なった上に現在の世界が成り立っているのだと思います。
実際に、現在の地球上で極度の貧困にある人間の数は徐々に減少傾向にあるということです。(国連のデータによる)
例えば中央アフリカの諸国は、貧しいイメージがあり実際に貧しいところも多いのですが、それでも過去に比べて状況は飛躍的に改善している。(現時点で、良い状態であると言っているワケではなく、過去よりは良くなってきているという意味です。)
そしてそういった改善は、上の写真の碑に見られるような、大きなニュースになることもない小さな行動の積み重ねによるものだと思います。
自分自身がしてきた、もしくはこれからするであろう小さな仕事のひとつひとつも、そういう「少しだけでも世界を良くする」仕事でありたいと、でこぼこの山道に揺られながら、高地の薄い空気のぼーっとした頭で考えたのでした。