次男(6歳)がどうやら反抗期みたいだ。
こちらの小言に返事をしない
頼んでもぐずぐずして動かない
言い訳をする
など。長女長男には反抗期らしい反抗期はなかったと記憶しているので、最初は、どうも最近次男とのコミュニケーションがうまくいかないときがあるなくらいにしか感じていなかったけれど、そうかこれが反抗期というものなのかとしばらくしてから気づくことになった。
兄妹、特に四歳上のお姉ちゃんとよく口喧嘩になる。わたしの机にあるものを勝手に使うな、使ったおもちゃや読んだ本を片付けろ等々。喧嘩、と言うか、姉が弟に一方的にまくしたてることが多く、そのスピードも語彙も持ち合わせていない年下の彼は黙ってしまう。それを無視されたと思った姉がさらに怒るといった感じだ。
四六時中反抗してると言うわけでなく、普段は兄とふざけあったり、妹とごっこして遊んだり楽しくしてる。何かの拍子で「反抗期スイッチ」が入ってしまうのだろう。
ある日、ふたりでお風呂に入るときがあったので、最近の彼の態度について話をした。
次男にも思い当たるふしがあるようで、壁の一点をじっと見つめながら思い出すようにぽつぽつと話はじめた。彼には彼の都合なり、理由があっての行動だった。それがその場その場ではうまく言葉にできなかったり、説明がつかなかったりして、黙ったり言い合いになったりしてしまうのだ。
彼の話を聞き終わって、僕は何か気の利いたアドバイスを、と考えたが、口から出てきたのは「そうか、まあ確かにそう言う時もあるよな。分かるよ」という、彼の何倍も人生を歩んできた先輩としては説得力に欠ける言葉だった。けど、説教めいたことは言いたくなかったし、彼の言動を否定したくもなかった。これまで身に纏っていたものが窮屈になり、新しい服を探している彼に、僕が用意した「誰に似たスタイル」を無理に着せようとするのは気が引けた。何を着るのか、彼は自分自身でそれを選び取ることができる。
話し合いのあと、僕は(そして、たぶん彼も)少しすっきりした気分で浴室を出た。
が、おもちゃの片付けをせずにお風呂に入った彼をお姉ちゃんに指摘され、また叱られていた。
反抗期はもうしばらく続きそうだ。
写真:隣町にあるお気に入りの場所で。「何も身につけない」という選択もたまには良いかもしれない。