土佐町は稲刈りの時期を迎えています。
町のなかには稲を刈るコンバインの音が響き、米袋をいくつも積んだ軽トラックが走っています。風に揺れていた黄金色の稲穂が刈られ、静かになった田は、確実に季節が移り変わっていることを教えてくれます。
この時期、道端で知人に会うと話題になるのは空模様のこと。「(稲刈りは)もうすぐかよ?」が挨拶がわりです。稲刈り仕事は、何と言ってもお天気勝負。良い天気が続き、稲が「よい感じ」に乾いた頃を狙って予定を立てます。
「明日、稲刈りするけ」と、弾んだ声で教えてくれた人がいました。ところが前夜に雨音が。
どうするのかな?と思っていたら「いたずらな雨にやられたにゃあ」と、その人は笑って言いました。
「自然は思い通りにはいかんにゃあ」。
稲刈りは次の日以降に持ち越しです。
稲刈りは大きな喜びのときでもあります。家族や親戚一同が田に集まり、落穂を拾いながら刈り取った稲藁を立て、共に仕事をしながら収穫の喜びを味わう。これが先祖代々重ねてきた営みなのだと思いながら、その風景を見つめました。
自然と何とか折り合いをつけ、自然と共に生きているこの地の人たちの足元は、しなやかな強さで満ちています。