「稼ぐまちが地方を変える」 木下斉 NHK出版新書
机上論ではなく経験者の行動の下に書かれた、とても説得力のある良書です。
「地域おこし」「地方創生」「地域再生」などなどのワードで昨今語られることの多い地方振興系の活動。あんまりこういったワードで括るのは好きではないんですが、日本全国で頑張っている人たちは多くいますよね。
書かれていることの多くが、目からウロコが落ちたり、自分の考え方と一緒だったり。箇条書きで少し紹介してみます。
不動産オーナーたちが連携を組んで地域を良くする
地域再生や振興は、日本ではなぜか地域の役場や役所が担うべきものと認識されていますが、欧米では不動産オーナーがチームになって取り組むこととされています。地域全体が良くなっていくことで、オーナーたちが所有する物件の価値が上がる訳で、とても合理的な形だと思いました。
本気の人間が2、3人集まれば物事は変わっていく
逆を言えば、口だけ調子の良いことを言う人間が100人集まっても、会議や宴会の繰り返しで終わってしまうということ。リスクを取り汗をかく人間が、3人でもいればそれでスタートはできる。
小さく始めて大きく育てる
机上で壮大な事業を考えていても現実は何も進まないので、まず自分が(もしくは少人数の仲間が)できることを一歩ずつやっていく。小さくて正解、という考え方。
評論家になってはいけない
著者は職業柄いろんな地方で講演を依頼されることも多いそうですが、いわゆる「良い話を聞きたい」という依頼は断っているそうです。地方の方々が本気で動こうとしているときに、一緒に汗をかいてやっていきましょうと手を取り合うための講演だけを受けているそうです。共感。
以上、これ以上ないくらい粗い抜粋、そして記憶力の低下から言葉遣いは正確でないかもしれませんが、「地域おこし」という場の、ある意味最前線にいる身としては、多くを気付かされると同時に勇気ももらえるような一冊でした。