「末広がりのいい会社をつくる」 塚越寛 サンクチュアリ出版
著者の塚越寛さんは、伊那食品工業という会社の社長さん。「かんてんぱぱ」の会社と言ったらピンとくる方も多いかもしれません。塚越さん、今年5月高知のかるぽーとで講演されていました。
題して「みんなが幸せになる会社のあり方」。
企業のトップとしてどのように経営を考えていくか。どうやって従業員を幸せにしていくか。売り上げとは企業にとってなんなのか。
印象に残ったのが、幹部で集まって経営について会議する際に、「売り上げ目標について話すことが全くない」ということ。
じゃあ何を話ししているか?「世の中の価値観がどう変化しているか。そればかり話ししています。」
会社は従業員や地域住民を幸せにするためにある。そして売り上げはその幸せを実現するための手段。あくまで手段であって目的ではない。
そういった言葉のひとつひとつに、気負いやはったりを全く感じず、逆に深みと説得力を大きく感じるのは、塚越さんが長年この言葉を実践してきたという「過去形」で話しているからなんだと思います。
「こうなったらいいよね」「こうなるのが理想だよね」もちろん理想を持つこともとても大切なことですが、言いっ放しは誰でも簡単にできる。
大事なのは、少しずつでも現実を理想に近づける小さな一歩。そんなことを考えさせてくれる一冊です。