2024年7月。
土佐町伊勢川の大国様(大国主神社)の境内で、カキランがひっそりと1株だけ咲いていました。
日当たりのよい水路沿いなど湿気の多い環境を好んで自生するラン科カキラン属の多年草です。
6~7月ごろに茎の高さが30~70㎝になって、オレンジ色の花を咲かせます。
ふつう花は茎の上部に10個余りつくのですが、この株には2個しかありません。
よく見ると茎に別の植物の細いつるが巻き付いています。茎の先の方は無くなっている様子です。
それでも緑の藪の中で、花弁のオレンジ色と唇弁の紅紫色の模様がよく目立ちます。
綺麗なランです。
柿の実と同じ色の花を咲かせることからその名が付いたそうです。
カキランは多くの都道府県でレッドリスト(※)の指定を受けていますが、幸い高知県は該当しません。県内には自生がまだ多くあるという証でしょう。
一般的に自生地では群生することが多いと言われており、土佐町のカキランについても「~に群生している」とか「していた」とかいう話は耳にしますが、まだそんな光景に出くわしたことがありません。
私にとっては稀な植物の一つです。
隣の本山町も同様で、つい先日吉延の山で見たカキランも連れがいません。1株だけでした。
この株には蕾を含め花が17個もついています。これがカキラン本来の姿なのでしょうか。
因みにカキランにはスズランという別名があります。蕾が鈴に似た形をしていて、鈴生りに花がつくことがその由来となっているようです。
※レッドリスト:絶滅のおそれのある野生生物の種のリストこと。国際的には国際自然保護連合が作成しており、国内では、環境省のほか、地方公共団体などが作成している