たいつり
昔々のその昔、小学校2,3年生の頃、年に一度の節分の日(山奥の農村では旧暦でした)。夕暮れ時、子供だけの楽しい嬉しい、昔からの行事がありました。
近所の子供たちが誘い合ってグループを組んで、近所の家を回るのです。手に手に「カジガラ」を一本持って、節分の夕暮れ時の楽しみでした。
「カジガラ」とは、楮の皮を剥いだ後の白い棒。節分の日、学校から帰ると「カジガラ」を20㎝くらいにひき切って、先の方に少し割れ目を入れて、オニバラの葉っぱを一枚挟み、家の外回りの柱の元の石の上に立てる。鬼が家の中に入らないように、という昔からの風習だそうです。兄と二人で作ったのでした。
そして、夕暮れになると、大きなポケットのついた「ソータ」に着替え、小さな手提げ袋をそれぞれ持って、空き腹で皆の集まる場所へ。皆で決めた順番に各家を回るのです。
まず最初の家は、大きな「カジガラ」で、上級生がそっと行って、縁を4、5回叩くのです。そして素早く物陰に隠れるのです。そしたら家の人がお盆に山盛りのお餅や赤飯、干し柿、お菓子など出してくれるのです。
外の皆は、屋囲いや石垣の陰から素早く出ていって、ポケットや袋に何も残さず頂くのです。そのスリルも面白かったし、何軒も回って、頂き物を家に帰って食べるのが嬉しい楽しみでした。
この風習は、ずっと昔から続いていたそうで、各家ではお供え物を前日から準備して、空っぽになったほど、縁起が良かったそうです。我が家は非農家だったので、頂くばかりでした。
懐かしい思い出、語り合う人のいないのが残念です。