「袋詰めを手伝ってくれたら、うんと助かる!」
お世話になっている農家さんに言われ、娘と手伝いに出かけた。なす、ピーマン、きゅうり、甘辛とうがらし。ツヤツヤの野菜たちがコンテナから溢れそうになっている。
ご夫婦で営んでいる農園はいつも忙しい。週に2回、高知市のスーパーへ野菜を運ぶのだが、その前日に収穫、袋詰めと夜遅くまで作業していることも多い。
きゅうりとなすは大小2本ずつ、ピーマンは重さを計って3つ。それぞれの袋に農園を紹介した小さな紙を入れて、袋を閉じる。
きゅうり50袋、なす110袋…。注文数の袋をひたすら作る。なすは一旦新聞紙にくるんでから袋に入れると入れやすい。
途中でなすが足りなくなったため、奥さんはバイクに飛び乗って近くの畑へ向かい、20分ほどで帰ってきた。先ほどまで太陽を浴びていたなすの内側は熱を帯び、しばらく置いてから袋に入れた。
ご主人が「食べてごらん」と甘辛とうがらしを手渡してくれた。苦いかもと思いながら食べたので脳はびっくり、果物のように甘かった。噛むと果汁が溢れる。二口、三口と続けてガブガブと食べた。そんな私をご主人は、にこにこと見ていた。
奥さんは「近頃値上がりばかりでとてもしんどい」と言っていた。野菜を入れるビニール袋は約10パーセント値上がり、肥料や段ボール、ガソリン代も。一体どこまで上がり、いつまで続くのか。野菜をいくらで売れば日々の経営が成り立つか。気温の急激な変化で野菜の生育状況が以前と変わったため、その計算も難しいと言っていた。
それでも、日々作物は育つ。その作物を収穫し、出荷する。二人はその合間に草を刈り、田畑を見回り、これからの秋冬野菜の準備を始める。どれだけ汗をかいても終わりがないサイクルの中で、誰かが手伝ってくれたり、お客さんが来てくれることがちょっとした息抜きや楽しみになっているようだった。
二人に会って、夏バテでぼんやりしていた身体に血が通った。またできることがあれば、手伝いに行きたいと思う。