『がんになった緩和ケア医が語る「残り2年」の生き方、考え方』 関本剛 宝島社
この本は、 43才の緩和ケア医師、 関本剛先生が語る残り2年の人生の過ごし方を綴った本です。
がん患者を看取るはずの医師が ステージ4のがんを宣告され 、看取られる側に足を踏み入れた時、「人間としてあるべき姿」について、自分自身に言い聞かせ、それを実行する。
人間が誰しも持っている「最後はこうありたい」という理想を価値あるものだと考えているし、「先生、私は美しく死にたい」そう答える老婦人は、「こうありたい」という願いよりも「こうはなりたくない」という意識が人間の行動を規定するのではないか。
ドイツの神学者、マルティン・ルターの有名な言葉がある。「たとえ世界の終末が明日であっても、 私は林檎の樹を植える」。
よく死ぬためには、よく生きなければならない。今は健康でも2人に1人ががんになるという現代の日本で、がんになるという未来を予測し、覚悟して生きている人は、どれ程いるだろう。
がん患者の側に立ち続けた関本先生は、抗がん剤治療を受けながら、今後、新たな薬や治療法が出現し、うまく奏功すれば…とい う期待を持ちつつ、 時々最悪に備えつつ、普段は最善に期待する」 という姿勢を貫いていらっしゃった。
けれども、関本剛先生は、2022年4月19日に自宅にてお子さんの声に笑顔を見せ、ご家族に見守られながら、穏やかに旅立ったそうです。先生はもういませんが、その想いは、皆の心に今も生き続いていくでしょう。